|
■ 5試合『ネオブラッド・トーナメント2003〜ミドル級〜』一回戦第1試合/5分2ラウンド ×中台宣(延長R 0分43秒、KO/ロー)奥田正勝○ このミドル級、やはりここ「N.B.T.」で勝っていけるという事が、今後の本戦に突入していく時にいかに重要なポイントになるか?というのが、昨年の優勝した門馬選手、一昨年に優勝した三崎選手。ネオブラッドの勝利者というのは、良いスタートを今後、後半戦に切れるわけです。そういう意味で大変重要な試合です。中台選手は3回目の「N.B.T.」です。もう ネオブラッドのネオも薄れて来るところです。奥田選手は逆にパンクラスのデビュー戦です。私はこの真武館という空手の道場出身という中で、奥田選手の忍耐強い闘い方、心身共にスタミナのある闘い振りというのが、実に興味がありました。それに対して中台選手は、どうも淡白なところがあります。実はこれは人間の才能の一つです。才能の一つに、練習をした段階からどのくらい自分に、忍耐強くスタミナがあるかというのがあります。練習の仕方にスタミナがあるというのは、ただ単に長い時間やるとか、いつもヘロヘロになるという事ではなくて、頭を使いながら集中して、自分に対して抜かない、色々な意味で努力を抜かないという事が、実は試合、試し合いになった時に威力を発揮していく、実は重要素です。そういう意味で中台選手という者と、奥田選手という者の、日頃の表れがこの延長戦に出たと思います。1R目は中台選手は良い滑り出しでした。はっきり言って、奥田選手は、かなりまずいところまで追い込まれました。ただ、中台選手は、テークダウンを取っても、グラウンドの練習がやはり足りないのでは?と思います。グラウンドで殴るという練習しかしていないから、コントロールが出来ませんでした。 それに対して、そこを耐え抜いた2R目からの奥田選手は、やはり動きが変って来ました。逆に1Rで攻め切れなかった中台選手が失速し始めました。ですから本戦2Rが終った時点で、中台選手、奥田選手は同じぐらい疲労していました。しかし3R目、延長試合が始った時には、明らかに奥田選手が前に出ていました。中台選手は立っているのがやっと、というような臭いを発散してきました。その時点で勝負があった感じです。試合は空手家らしく、後半右のローキックによって、中台選手の左足が潰されていきましたが、私からすると、効いてはいましたが、まだまだ闘える足だったと思います。試合後、中台選手は「古傷の左膝がロックする感じが出て闘えなかった」とコメントしました。ですが、私は中台選手が尊敬して止まない、ある格闘家を知っています。その格闘家に、出稽古で練習しているのも知っています。その尊敬している格闘家の選手は試合中に膝の靭帯を3本切って、関連する筋肉も寸断して、それでも尚且つ、闘おうとした姿を私は知っています。それに比べたらば、中台選手は若さと肉体の強さと色々な好条件を持ちながら、心が負けたという事を私は知っています。それをまず見詰め直さないと、日頃のトレーニングは全くの無意味になります。逆に序盤、辛いスタートをした奥田選手が、延長ラウンドで前に前に出ていったところに私は大いに拍手を送りたいと思います。やはり武道家という姿を、私はここに見ました。そんな奥田選手、素晴らしいデビュー戦だったと思います。 >>> N E X T |