第4試合 ライトヘビー級戦/5分3ラウンド
○KEI山宮(3R 5分00秒、判定/3-0)ネイサン・マーコート×

私は最近、KEI山宮選手に大変不満を持っています。人間というのは性格というものもあるのですが、生まれ持った性格を、ず〜っと持っていくわけにはいかないと思っています。それが人間として、もしくはその職業、プロとしての成長だと思っています。ですから、山宮選手は謙虚過ぎるというのか、それが実はあと少し、あと少しと言いながら数年、あと一皮剥け難い山宮選手は、実は自分で演出しているように見えてなりません。それだけもったいないなと思って山宮選手にはクレームを出したいと思っていました。そんな中で彼が、ある選手のところに出稽古に行っているのを知っています。それで大きな意味で意識改革を受けている事、影響を受けている事も私は感じ取れていたんですが、そんな試合の良い面が山宮選手には出てきました。

というのは、現(ミドル級)チャンピオンのネイサン・マーコート選手に対して、山宮選手も前(ライトヘビー級)チャンピオンです。現チャンピオンに前チャンピオンの山宮選手がチャレンジしていくわけです。パンクラスのベルトを一度持った人間というのは、それだけクオリィティーが高いのです。それは遠慮すべきと、頭を高く持たない事、要するに頭を垂れて日常精進する事と、自分から(自分自身を)マイナス評価する事は違います。そんな中で私が注目するのは、山宮選手の勝率です。およそ3回に2回は勝っています。これはプロ野球のピッチャーで言えば、3回登板したら2回勝ち星が得られる、という事は、残りの3分の1が負けか、もしくは引き分け、という形です。そういう状況というのは、そのチームのエース、主戦投手というラベルを貼ってもらえる成績です。それを、何と無く中継ぎピッチャーの様なイメージにしてしまったり、敗戦投手の様なイメージにしてしまうのは、これは自分で自分の首を絞めている事になります。やはり自分が勝っているという事をアピールしていくことは、元チャンピオン、現プロフェッショナルとして、やらなければいけない仕事です。そうしないと、元チャンピオンという事は、現チャンピオンもいるわけですから、その自分の持っていたベルトの低さというものを、あまりにも露骨にそういう事を言ってしまえば、現チャンピオンのベルトの価値も下げる事になります。延いては、パンクラスのレベルを下げるという事に繋がってしまうのであれば、持っていた事には変わりがないのだし、勝ち得た事は皆の記憶の中に生きているわけですから、そういう意味では勝った負けたということよりは、自分の生き様で、きちんと言葉を吐くべきです。それがプロとしての最も大切な事です。

試合は外側の大きな闘いをするネイサンに対して、やや距離を詰めて、自分の距離で闘っていく山宮選手。特に左のアッパー、フックというコンビネーションをどうやってネイサンに持っていくか?というところの試合でした。ネイサンがロングのリードジャブなりというものを出していく中で、どうしても踏み込んでカウンターで入って来る山宮選手の勢いを察していたのでしょう。試合は山宮選手の距離で闘いが始りました。その中で前に前に出ていく山宮選手。そして左のアッパーを効果的に使っていくというところで、マーコート選手は踏み込みができなくなってしまいました。後半、やや外側にクロスする形で、クロスの右ローを放って山宮選手のバランスを崩そうとするのですが、やはり出稽古の効果でしょうか、蹴りに対しても自分の形とバランスを崩さない山宮選手がそこにいましたから、終始自分の形で攻めていきました。そこにマーコ-ト選手からテークダウンを取っていけるという強さが裏付けとして出ていました。要するに立って良し、寝て良し、組んで良しという、そういう闘いを山宮選手しました。そこから先は現チャンピオンですから、早々牙城は揺るがなくて判定という形になりましたが、十分攻めていた山宮というものを、この試合で久々に見ました。それは端的に言うと、今迄相手が打撃なり立ち技で攻撃して来るのに対して、山宮選手は2歩後ろに退く癖がありました。二拍子で1、2と後ろに下がる癖がありました。今回は全て一歩で見切るという事を彼は敢行していたというところに、精神的に前に出ていったというところが評価されると思います。山宮選手は自分でそれに気付くべきです。それによって、次の試合で1本取れるかどうかは実はその気持ち、心の問題です。そして、その部分を自負して練習するという事で、私は必ず次の山宮選手の試合は今回と同じ様な気持ち、そして感覚で試合に臨むのであれば、次の山宮選手は絶対に1本勝ちできるという認識を持って私はこの試合を見ました。それぐらい楽しみな山宮選手です。それに対してマーコート選手、もしかすると拳なり、どこかに故障箇所があるのかなと。これは不確実ですから、私の感覚です。彼に何かアクシデントがあったのではないかなというところで、ちょっと不安はあるのですが、タイトルマッチ等ありますから、そういう意味ではきっちりと体調を整えて次の試合に臨んでもらいたいです。取りこぼしの無い様に。


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