第3試合 無差別級戦/5分3ラウンド
○佐々木有生(3R 5分00秒、判定/3-0)ヒース・シムズ×

ここにきて、今年に入って佐々木選手は元気がない、という風に通常言われています。ですが、これはスポーツ選手には当たり前といえば当たり前なんですが、勝ち続けている時は元気があると見られます。何故なら、この総合格闘技は特にそうなんですが、勝者と敗者の色分けが、はっきりと付きます。片方は地面から立ち上がる事も出来ない、片方はゆうゆうと2本の足で立っている。そういう図式があります。そういう事からすると、勝者は強く元気があり、敗者は弱く元気がない、そういうイメージが付き易いものです。たまたま佐々木選手は、数試合勝利を手にする事が出来なくて、元気がないと言われていました。私が佐々木選手を見るに、佐々木選手の大変いいところ、それが小さな怪我、疲労、そういうものも含めて、ちょっと故障箇所を大切にケアーしないでここまで引っ張ってきてしまったと思います。痛くなければいいや、という程度で、改善を、ケアーとして設けなかった為に、自分の良い身体の動かし方、敢えてここでは言いませんが、佐々木選手ならではの体の動かし方、それを失ってしまいました。それ故に相手はイージーに闘い易くなります。自分のいつもの感覚と、現実の感覚に開きが出てきたところに、自分自身で自分を疑う事になってしまい、それに伴い勝利から遠ざかります。それによって、多くはスランプである、とかという言葉で色々な人は片づけてしまいます。私達、“勝利請負人”、トレーナーとして携わっている中では、そんな事は星の数ほどあります。それを一つ一つ、何がおかしいから何を改善させる、という具体的な事をすることによって、限界説やスランプだったとかいう、そういうものは払拭出来ます。ですから、佐々木選手は久しぶりに勝利を収めました。相手が試合直前で変わったという不運もあるんですが、一つ仕切り直して、秋から冬にかけて再び良いスタートを切って欲しいです。2004年に向けて、後半戦に良いスタートを切るには、まずもう一度自分の足元を見直していく。それに対しては良いきっかけになるような良い勝利だったと思います。

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