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■ 第3試合 スーパーヘビー級戦/5分3R ▲ロン・ウォーターマン(3R 5分00秒、判定/0-0)ジミー・アンブリッツ▲ 120kg VS 127kgという、今回の両国大会での最重量2人の対戦ということで、ウォーターマン選手はチーム名と同じくインパクトのある試合をして来ているので、嫌が応にもスーパーヘビー級対決というところでは、大変期待の持てる試合でした。ジミー・アンブリッツ選手もケージマッチ等で実績を残している選手です。腕の太さなんかは、ミドル級選手の脚の太さぐらいあります。その怪力振りは素晴らしいというところでの、たいへん期待が持てる試合でしたが、試合の方は殆ど四つに組んで押し合うという展開がフルラウンドで続きました。これは私がレフリーを担当していましたが、ただ、あれでどちらかが引くと、スーパーヘビー級にもなってしまうと、試合は一気に決まってしまいます。あそこはどちらも引くに引けません。引き際に必ずどちらかが何か仕掛けます。ですから、細かいのですが駆け引きは両選手ともにしていました。そんな中で、唯一2Rにアッブリッツ選手が出した攻撃というのがショートパンチで、その1発がウォーターマン選手の左顔面を捉えて、ワンパンチでカットしてしまいました。ですから、スーパーヘビー級はそういう見方をしていただくと試合は面白いです。テクニカル的に攻防があるというよりは、名人剣豪同士の睨み合いの様な、1歩動いた時は必ずどちらかが斬られるというようなくらい、一太刀が強いです。ですからウォーターマン選手のコーナーに押し込んでからのショートアッパー等もかなりの威力でした。 私は側で見ていましたが、ウヮーと思いました。顎もバンと上がって、一瞬カクンと来ているんだけど、直ぐに回復してきました。そんな中でウォーターマン選手は、テークダウンを取りたくて仕方がありませんでした。多分、テークダウンをとれば自分のものだと思って、辛抱して辛抱して闘っていました。だから足を取りにいったりとか、そういう事をウォーターマン選手は仕掛けたんですが、アンブリッツ選手は完全に守りに入りました。要するに、もう前へは出ませんでした。組んだら離れ際を殴るか、膝を入れて形勢が良くなるまでは絶対ガード1本という形で守りに入ってしまったから、ああいう四つになってしまったのだと思います。ですから両者にもう少し動くようにという指示を出していたのですけど、ウォーターマン選手は結局4回ぐらい試合中にローブローが入っていました。その内の2つは浅いという事もあって、試合はそのまま流していたのですが、後半は少しキツめのが入っていたので試合を止めたりしたのですが、その度にウォータマン選手が怒るんですよ。「何で?せっかく組み付いたのに! ローブローなんてきいちゃいないよッ!」(笑)みたいな感じでした。 ファンの皆さんには疑問に思ったシーンがあったと思いますが、唯一この試合が大きく動きそうになったのは、ウォーターマン選手がアンブリッツ選手からテークダウンをとりかかったところです。あれは何故あそこから「スタンドアップ」かと言ったら、これはルール上仕方ありませんということです。私も個人的にはそのままストップ・ドントムーブで中に入れて闘わせたいです。その方が試合の流れも変ります。でもルール上、身体の半分以上がリング外に出てしまった場合はアクシデントとして、スタンドアップで再開しなければならないというのがあります。ですから、私の一存でそうしたのではなく、ルール上そうしなければならないという事です。それがこの試合を引き分けた様な気がします。あれがロープ際でなければ、もしかしたらあそこからウォーターマン選手が一気に攻め立てていけたかもしれません。もう少しスタンドの組み合いが出来るのかなと思ったのですが、お互い引けなかった、というところだと思います。良い意味でウォーターマン選手はパンクラスの看板を背負いプライドを見せてくれたし、アンブリッツ選手は新日本のプライドを持って、ある種代理戦争の様な気持ちの中で闘ったくれたから、お互いがああいう守りの色の強い試合になったと思います。今後違った相手と闘って、両者ともに実績を重ねたところでまたこの試合を見てみたいと思います。 >>> N E X T |