セミファイナル ミドル級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ/5分3R
×ネイサン・マーコート(1R 4分53秒、ギブアップ/フロントチョーク)ヒカルド・アルメイダ○

チャンピオンに返り咲き、2度目の防衛戦となるマーコート選手。破竹の連勝記録を伸ばしたいアルメイダ選手という、久々の外国人選手同士の対決、頂上対決というようなイメージがありました。今回もマーコート選手は例によって早めに来日して、グラバカで練習をしたり、体調調整をしたり、練習に余念のない状況でのタイトルマッチでしたし、アルメイダ選手もきっちり自分のコンディションを仕上げてきての試合でした。私が担当レフリーの試合でしたが、リングにいてひしひしと、動き以上にお互いの熱視線、そういう間合いの世界というものを凄く強く感じる、そんな良い試合でした。そんな中で、打撃の攻防というのが、もう少しとり行なわれるのかな、というところだったのですが、アルメイダ選手が強い打撃に屈しないで、自分からも打ちにいきながらのテークダウンでグラウンドを支配する。それに対してマーコート選手が持ち前の粘りで凌いでいきながらの勝機を見付けていくという第1Rでしたが、試合が動いたのは4分30秒過ぎ、終盤残り30秒を切ったぐらいの所で、ボディーコントロールの中からフロントチョークの形にアルメイダ選手が入ります。それをマーコート選手は堪えながら、首を引き抜きにかかります。そして、ちょっと抜けかかったところでした。私はここで上手いな、と思ったのは、十分に首を、頭を抜くという事は、逆に言うと首に新しく空間を作るということです。そこで空間がちょっと浮いたところに、もう一度腕のポジションを取り返して、上手く深くネジ込みました。要するにポジションを取り直して、もう一度絞め直しましたが、本当に力だけで絞めていない、技術で絞めているんだなというところに、私は戦慄が走る様な「上手いな!」というのを感じました。

試合はそれでマーコート選手がタップをするという形でしたが、お互いのプライドとプライドというものが交差しての試合だったので、中々タップした後に離さないアルメイダ選手に対して、離れ際にマーコート選手がパンチを出していくという、あわや乱闘みたいな雰囲気になり、「何で俺の担当試合でそんな事するんだよ」(笑)なんて思いながら、アルメイダ選手を止めに入りました。マーコート選手としたら、自分の組み立てたイメージ通りの試合が出来なかったというところでは、上手く完封されてしまいました。新チャンピオン・アルメイダ選手とすれば、マーコート選手の上手さを上手に封印したというところです。こういうところが、タイトルマッチの本当に痺れる瞬間です。さあ、この流れを汲んでアルメイダ選手がどこまで連勝記録を伸ばしていくのか?そしてストツプ・アルメイダを誰がやるのか?という事です。名乗りを上げてくれるのは、ismからなのか?GRABAKAからなのか? そんなところにも興味津々で2004年に突入してもらいたいなと思います。ミドル級は新チャンピオンのアルメイダ選手を中心に回っていくのは間違いありません。目が離せません!

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