第3試合 ウェルター級戦/5分2R
○大石幸史(2R 5分00秒、判定/3-0)飯田崇人×

実はこの試合、カード表を見せてもらった時に、中々良いんじゃないのと思った、結構楽しみな試合でした。ほぼ体重差もありませんし、大石選手も今年1年大きなケガも無く、取りこぼしも無く、自分の闘い方というものを淡々とやって来てて、練習の結果もしっかり出ているし、好感の持てる選手です。それに対してA3の飯田選手は、私は好きな選手です。たたずまいといい、何しろ眼が負けていません、気持ちが出ています。そういうのは素晴らしい、格好良いなと思います。その2人が真向から組んだのですから、悪い試合ではありません。当然、良い試合でした。試合の方は大石選手が自分のリズムで試合を動かし、そして流れていく展開でしたが、そこに小さく小さく、速く速く対応しながら、試合を組み立てていこうという姿勢の中での3-0という事で、いずれも大石選手が20-18で、1Rづつ取っての完封勝利でした。それでも飯田選手は前に前に出て来ましたし、気持ちも折れず、逆に大石選手は最後まで1本に拘り闘っていましたし、そういう意味では、私は判定勝ち以上の価値が大石選手にはあったと思います。

試合をビデオでご覧になる方、もしくは番組で見る方がいらっしゃれば、今回の大石選手に1つ注目してもらいたいのは、いつもであればパンチに対するウィービング、ダッキングといった動きする際、大石選手はものすごく身体を大きく動かしていました。今回、大石選手はそれを半身だけ、要するに身体半分だけでパンチを見切りながら、自分の打撃を当てていました。これは結局自分を崩さないで見切っていくという、ワンランク上の闘い方をしています。パンチというのは基本的に当たっても構いません。当てる方は身体の中心を狙ってきますし、耳、目尻を狙って打つ選手はいません。絶対に鼻柱、口、目、というような、顔の中心に向かってパンチを打ってくるので、半分だけ移動すれば良いのです。逆に打ち込む選手の角度が悪ければ、相手の拳が壊れる様な事も有り得ます。ですから、小さく小さく見切っていくという事が、逆に言うと強い自分の重心の位置で相手にタックルに行ったり、逆に小さな動きの中で、切り返して、ディフェンスして打つ、カウンターを狙っていくという事も出来たりします。そういう意味では大石選手が、もう来年に向けて新しいスタートを試合で試み出したという事です。そういうところを見ると、先の第1試合の若い2人や伊藤選手なんかは、こんな事言ってる場合じゃ無いよと言いたいのはそういう事なんです。1ランク上の闘い方をもう試合でしている選手がいるんだよという事を加味して、練習量もしくは練習の内容で負けない様にしないといけません。ズバリ言います。今年夏場に大石選手は化けるかも知れません。

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