第6試合 ウェルター級戦/5分3R
△大石幸史(3R 5分00秒、判定/1-0)ヒース・シムズ△

立ち上がり、大石選手の細かい打撃中心の展開で1Rが大石選手。2Rもやや大石選手が攻め、3Rは打撃で息を吹き返したシムズ選手が逆に大石選手を追い込むという様な、大まかに言うとそんな試合でした。シムズ選手は右ストレートが速く、凄く良いです。小さく打ち込んできて、右のパンチの距離間が安定していて凄く良かったです。それと右ローキックが自分の距離間をちゃんと作れているので的確にヒットしていました。大石選手はあのローキックをちゃんとカットしておかないと後々面倒くさい事になりますよ、というのが一つの課題です。それに対して細かいパンチを打っていく事、相変わらずタックルなりなんなりの反応等、やるべき事をきちんとやっていく、ハートが前へ前へ出ていっている、そういう所が大石選手らしかったです。ただ、大石らしさが段々無くなっているというのも一つの現実かもしれません。というのは、打撃という技術が上手くなっているのは良いのですが、あくまでも自分は掴んで投げる選手だというのを忘れてはいけないと思います。打つ事を主流に考えていくと踏み込みが荒くなります。要するに殴るといのは怖いものです。

心理的に言うと、なるべく自分よりも遠い所で殴りたいんです。それは野球でいうと打たされてる事なので、絶対に長打はありません。強く打つバッターに対して、低めに沈む投球をしていると長打は少ないです。それよりも軽く振ってすくわれるボールの方が飛んでいきます。大石選手は遠く遠くで打ちたくなってしまっていて、実は首を取りにいく、脇をさしにいく、タックルにいくという距離間の中で、きちんとパンチが打てる所に実は大石選手の打撃の強さがありました。それが自分の射程距離より外で強く打っていく所に、少しだけ大石選手らしからぬ部分、ですから今回タックルが、シムズ選手の懐が深かったというのもありますが、大石選手のタックルがあまり目立ちませんでした。それは結局自分の射程がそこにあるという事です。前から言っている通り、こういう闘いの間合いというものは自分と相手を結ぶ距離では無いという事です。近い間合いでも打たれない角度というのがあります。それを上手く使い、世界の頂点にたったのがマイク・タイソンです。これはマイク・タイソンの練習をしていたジムに行った私だから言えるのであって、それはどういう事なのかと言ったら、手足が長く上背のある選手のアウトパンチを空かしながら懐に入って自分の射程距離で、自分のパンチを打ち込んでKOの山を築いたタイソン選手のパンチというのは、距離ではないところに安定性と破壊力が隠れているということを学ぶと、スタンドレスリングをもっとしっかりやった方が良いぞ、という選手が私はたくさんいると思います。変に打撃を練習しようとする事によって自分の良い所を消す選手がいっぱいいます。それを失ってないのは高橋選手ぐらいではないかと思います。そういうところで苦言を呈したのは、大石選手は今回ドローで不敗神話が続いているので、不敗神話ではなく上昇神話を勝ち取らないと大石いかんよという、『ネオブラッド・トーナメント』もあるので、そういう事も含めて若い選手を引っ張って行く核弾頭としては、勝ち続けるというところに勝機を見出さないといけません。

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