第7試合 ライトヘビー級戦/5分3R
○渋谷修身(3R 5分00秒、判定/2-0)アート・サントーレ×

渋谷選手は珍しく試合で攻め疲れしました。私はこれも厳しい判定ではありますが、29-29のドローでつけました。流れとしたら圧倒的に渋谷選手です。1、2Rで渋谷選手は凄く攻めまくりましたが、ただ決定力ということで、形に入った後に、さーそこからどうなるかという事です。仕掛けていくんですが、技の完成度に満たないという事が続いて3Rに入った時に、逆にサントーレ選手の打撃が渋谷選手に当たりだして、ちょっと渋谷選手はダメージを取られています。ここで言える事は、ハー選手、大石選手の所で言いましたが、負けない試合というよりは、いける時にいくという、勝つ試合をしなければいけないという事が、今パンクラスの選手には特に命題として出されています。負けない試合の中に、どこかを糸口に見境無く技を仕掛けていくという事だと思います。それは要するに視野が広いか否かという事、それは余裕があるか否かという事だと思います。そういう中で思い切りの良さ、という事は渋谷選手に以前から言われている事なんですが、そこのところで一皮剥けてもらいたいという願いも込めて、渋谷選手にはいって貰いたいです。ライトヘビー級9位では渋谷選手いかんよ。パンクラス生え抜きという形になって来てるわけですから、自分が船木誠勝だったら、鈴木みのるだったら、この9位という数字をパンクラスファンが見てどう思われているのかという所に、さっき言った、おまえライオンに襲われ始めてるんだぜという恐怖心を持って練習や試合に臨まないといけません。「パンクラスの渋谷です」と落ちついている場合じゃないんだよという事です。でも、そういう恐怖心は唐突に現れて来ます。唐突に現れた時に、もう方向修正が行われない事が良くあります。

ご存知の方、そうではない方がいると思いますが、私はオフロードのラリー等、そういう車を運転する事が好きで、そういうレース等に名を連ねたり、そういう教育を受けたりしている事があるんですけど、そういう経験上で言うと、スノードライブというのはその様な感じです。安全に走りたければゆっくり走れば良いです。だけどそれでは競技性がないので持ち合わせるだけのスピードは出してきます。でも車の挙動なり地面の地形なりを先回り先回りして読みながら、ブレーキをかける時はかける、スピードを落とす時は落とします。内容としてブレーキをかける事とスピードを落とす事は違います。ブレーキを踏むというのはそれだけで挙動不審になりますからそれだけでリスクが凄く高いです。加速をする時もまた違います。状況が変わる瞬間というのは大変危険です。でもそれをしない事には、良いタイムを叩き出す事も出来ないし、そのマシーンを操っているとは言えません。その部分はリスクではありますが、それをこなす事が競技者として、優劣を分けられるポイントです。それを考えたら渋谷選手の実績とポテンシャルを持ってすれば、サントーレ選手は敵では無かったと思います。渋谷選手は相手のレベルに降りて闘う癖があります。相手は何であれ、自分らしさで闘っていかなければ駄目です。知らず知らずにベテラン選手は自分のリズムで闘おうとし過ぎてしまいます。先を読んでいくから経験値の中で何とかしようとして、敢えて未開の分野へ自分から入るという事を危険であると判断するといかない時があります。それがあるところでは決定打不足と言われてしまうケースが出て来易いです。ですからそういう意味では年の頭、渋谷選手は勝ちましたが、パンクラシストとしてこの勝利は、渋谷選手満足出来ていますか?という事です。渋谷選手が好きだから言いますが、それは言い方を変えたら、ライトヘビー級9位の勝ち方だよね、としかいえない。もっと上を目指すのであれば、もっと違った勝ち方があったと思います。それを期待したいです。サントーレ選手は、途中で試合を投げたというか、心が折れた所がありましたが、後半盛り返して頑張ったというところでは、もう1回見てみたい選手と言えます。チーム・クエスト、(パンクラス参戦は)新しいチームではありますが、また楽しみなチームがパンクラスに名を連ねてくれて嬉しいなと思います。

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