第4試合 無差別級戦/5分2R
△北岡悟(2R 5分00秒、判定/0-0)vs保坂忠弘△

北岡選手が約80kg、対して保坂選手が126kgだったと思いますが、約45kg以上の体重差を北岡選手がどの様に対処して闘うのかなと思いました。逆に大きな選手もこういう試合は闘い難いというのがあります。パンクラスMEGATONとして、今回保坂選手はデビュー戦でした。MEGATONの、P'sLAB東京での練習風景を見る事が多いのですが、やはり大きな選手とのスパーリングが多いですから、そういう意味では日常のスピード感が若干狂ったりすると私は思います。意外に大きな人の方も距離間等も多少狂ったりするので、保坂選手もデビュー戦にしたら躊躇しなくてはいけないマッチメークになってしまったので、ある意味残念だったかもしれませんが、冷静に試合を対処していったのではないかなと思います。北岡選手の強いパンチの踏み込みを受けても動じる事無く、しっかりとスタンドレスリングに移行しました。そういう点では良かったのかなと思います。北岡選手はどうやって闘うのかと思ったのですが、出入りを速くしてちょこちょこ動いたりするのであれば、興ざめだな思いました。というのは、この対戦は北岡選手が望んだマッチメークです。なので、自分に対して無差別で40kg以上の体重差を課して、自分で自分に課題を出して、それを空かすような闘い方をするのであれば、ちょっと面白くないなと思っていました。

北岡選手は正面から打ちに行きました。正面から踏み込んで、打ち合って、低いタックルに入るという、逆にセコンドから「それは駄目だ」と、がぶられて潰される危険性が凄くある中で、そういう試合の組み立てをしていった北岡選手は2R終始それをやり続けました。そういう点ではこの試合に対する北岡選手の意気込み、今年自分はこうなっていきたいというビジョンをしっかりもちました。私は去年の前半、後半と何人かの若手選手をあげて、この中で意識革命が出来て次に上がって行ける人間は誰なんだろうかと、その時の若手選手の何人かの中に北岡選手の名前を入れていました。練習の姿勢が試合に出ている選手。それがたまたま勝ちにつながるかつながらないかという所で、北岡選手はまだなかなか勝ちにはつながってないけれど、負けない選手というところで凄く良い試合をしています。ですからそういう意味では、正面から挑んでのドローというのは、私は勝利に値すると思います。実際他団体なんかでは、ルール上体重差が何kg以上あれば、こういうケースは体重の軽い選手が勝ちという場合があったりします。私は北岡選手に無理矢理勝ちをつけるつもりはないのでドローをつけましたが、このドローは勝ちに値するドローです。試合巧者で相手を翻弄したのではなく、体力差を自分の持っている体力で補って闘ったというところ、正面からぶつかりあっているという事です。その部分で言い方を変えると、実戦というリングの上で、自分のウェルター級タイトルマッチを見据えた上での実験マッチみたいな意識を、この試合にぶつけて自分でトライしたと。それは保坂選手を試したという事では無いし、この勝負は勝負として彼は色々な意味で試合後語っていましたが、実はそういう意欲が大変大切だという事です。この試合は、デビュー戦として自分の体重よりはるかに軽い選手と闘わなければいけなかった保坂選手のプレッシャー、それから自分から無差別級戦でと望み、自ら次に駒を進めたくて自分自身に負荷をかけてストレスを与えてそれに挑むという北岡選手。共に自分に色々なものが課せられた中での闘いであったという所に、このドローは両者にとって自分に勝てた試合だったという事に、高く評価したい1戦でした。

>>> N E X T