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■ 第3試合 ミドル級戦 5分3ラウンド ×中西裕一(3R 5分00秒、判定/2-0)佐藤光留○ まず、この判定に関しては、中西選手にイエローカードが出ています。これが響きました。 その辺を加味すると、第2試合同様、見所の多い拮抗した試合だったというのが私の感想です。もう一つの見方は、昨年の『ネオブラッド・トーナメント』のチャンピオンであり、その後も活躍している中西選手が、間違いなく、その当時よりも技術も伸びているし試合にもこなれてきていて、試合に対する意欲も随分出て来てるし、自信を持って試合をしてるというのが強い感想です。それに対して持ち前の身体能力がありながら、プロとしての意識の持ち方、そういう部分の掛け違いというのもあるのでしょう。私は良く佐藤選手の事をイメージで損をしているという話をしますが、そういう意味では損をしています。また、闘い方としても遠回りしてるぞという佐藤選手が、『ネオブラッド・トーナメント』後暫くパンクラスのリングから他団体のリングへ、プロ野球で言えばファーム落ちの様な扱いの中でどんな試合をするのか、他団体のリングでどんな闘いをするのか、というところで、取り敢えずタイトルを取って、凱旋した試合でした。昨年度の『ネオブラッド・トーナメント』チャンピオン 対VS一回戦敗退の佐藤選手という図式の中で、およそ10ヶ月経過し、パンクラスのリングですくすく育っている中西選手と、ファーム落ちして、他団体でもがいている佐藤選手がどんな闘いをするだろうというところでは、若い選手がそれぞれ影でどんな努力をしているのかというところに、それぞれの闘い方は別として注目した試合でした。 試合は、打撃をバランス良く使いながら、スタンドで相手のバックに上手く回って、そこから自分のグラウンドの展開に持っていくという、独特の中西選手の試合ペースをここでも見せてくれるのか、そして佐藤選手としては、どんな闘い方をするのかなという面白味がありました。私の佐藤選手のパンクラスリングでの印象は、ちょこちょこ試合を動かそうと思って、いっぱい色んなことをしてカロリーをたくさん使うのだけど、終ってみると顔面にパンチを貰って、鼻血を出しているという、その見てくれの印象の悪さ。逆に後ろを取られてしまうケースも多い。自分で仕掛けていき、後ろを取られてしまう事が多過ぎるので、そういう意味では、中西選手にとって上手く噛み合いそうな相手と言うところで注目をしました。その中で1R、突破口を開いたのは何と佐藤選手の左クロス・ローキックでした。これが物凄く速くて、ノーモーションで中西選手の左足を適確に捕え始めました。それに因って、バランス良くフェイントをかけながら懐に入っていくという中西選手のリードパンチもバランス良く使えませんでした。それが試合のペースを、イメージを変えられてしまったというのが私の印象でした。そして流石レスリング出身です、そこから相手の股を上手く取ってのスープレックス、腕を取られつつのパワーボムという様な形での、相手を立て続けにリフトして叩き落とすと、それもそれなりにキャンバスに頭を打ちつけるという形でダメージを与えながら試合を展開させたというのが、1R佐藤選手の持ち前でした。この日の後楽園ホールで1番ヒートしたのでは?というぐらい盛り上がりました。 佐藤選手は多分、今迄意識して沸かそうとして、これまでそれが出来ませんでした。必死に試合をして初めてお客様を沸かせたという事に彼には気付いて欲しいです。必死に勝とうと思った事が結局はお客様を沸かす事であって、無理矢理プロレス技に繋げて、お客様に媚びて試合をしようとして、それが元で自分の試合展開が苦しくなって負けていくという今迄の展開を考えたら、自分が何をしたらプロらしいのかというのをここで気付けたのではと思います。中西選手は、まさか佐藤選手がそういう力技で持って来るとは思わなかったと思うので、1Rは不意を取られたと思います。滞空時間が長くてそれで落としたので、退団した美濃輪選手が何年か前にパンクラスのリングで見せたようなものよりも、やや滞空時間が長い、上でセットしてという形で大変面白い投げだったと思います。2回も叩き付けられるとそのダメージもあって、1Rはその後バックを取ったりはしたんですが、相手にダメージを与えるという競技性としては、1Rは佐藤選手だったと思います。2Rは、中々懐に入れない打撃の攻防で中西選手は苦労したと思いますが、その中でなんとか踏み込んで打撃を繰り出していきます。ですが、やはり前足を殺されると微妙に間合いが狂います。その分、佐藤選手が、お客様には判り辛いと思いますが、顔面ぎりぎりのところでのパーリングで中西選手のパンチを自分のパンチで殺していくという所で、中々自分としては打撃が上手く使えなかった、突破口を掴めなかった、やはり後半まで中西選手らしく映らなかったというところでは残念でした。でも流石にその攻防の中からバックをきちんと取りながらグラウンドへ展開を持っていくという所では、いつもの中西選手がいました。その部分で2Rは、結局何も大きなダメージを与えられないで、どちらかというと佐藤選手の上を取ってはいるのですが、リバースのパンチ等で凌がれてしまっていたという、攻めあぐねていたと思いますが、主導権というところで、積極的に中西選手が取りにいったという点では、2Rは中西選手だったと思います。3Rは最終的にローブローで中西選手にマイナスのポイントが付いてしまいましたが、お互いに勝負を賭けていくという所では、お互いプロらしく自分の色を出して、最後まで攻め合いました。中西選手としてはらしさを出したし、佐藤選手としては、自分は何をすれば良いのかという点でのきっかけを体感したと思うので、その意味では、佐藤選手は次に繋がる試合をしたと思います。中西選手としては、自分のペース崩さないように参戦すれば良いと思います。昨年の優勝者と一回戦敗退者が、時間を経て、佐藤選手が少し追いついたぞというところでしょう。外のリングに上がる事によって、少し力を付けて戻って来た試合だというふうに感じました。 >>> N E X T |