第5試合 ライトヘビー級戦 5分3ラウンド
○デビッド・テレル(1R 3分04秒、ギブアップ/変形スリーパーホールド)渋谷修身×

力 対 力、という感じでこの試合は始まりました。一時期よりもスタンドの打撃バランスがたいへん良くなった渋谷選手です。そのペースを掴みにいったり、足を取りにいったり、随所に渋谷選手らしいところを見せた1Rの序盤でした。その中で驚愕したのが、ファーストコンタクトで組み合った時に、テレル選手が一瞬焦った表情をしました。これは渋谷選手の全身の力に対してだと思います。渋谷選手はパワー型選手との経験値も相当ありますから、自然と練習も含めてそういう出力というのは付いているので、日本人のイメージからすると、相当パワフルな相手だとテレル選手も感じたようで、そういう意味では渋谷選手らしさが十分に出た試合だと思います。その渋谷を持ってしても、さば折りで腰を折られていきながらキャンバスに崩されていくというところでは、その上をいったテレル選手のパワーの強さ、これは凄いなと思いました。グラウンドになってからは、渋谷選手の泣き所でもあり、シーザー・グレーシーアカデミーの選手の一貫した強み、一つの特徴でもあるのですが、グラウンドに入った後に、攻防の中からどんどん自分が何をすべきかという目標を立てていける闘い方をしています。それに対して渋谷選手は、昨年の後半もグラウンドをキープするんだけど、そっからどうするんだよというところで、攻めあぐむ点が課題として残っているのかなと思います。グラウンドの展開になった時点で徐々に絞められていき、そこから変形のスリーパーという形になっていきました。要するに“変形"のスリーパーというのは基本的にアドリブです。ここの部分が上に行く選手と行けない選手との差です。格闘技だけではなく、他のスポーツでもそうです。決められたセットプレーはこなせて当たり前で、そのパターンに入れるか入れないかの時でも、何とかそれを完成させてしまうというのが一流への道です。アドリブの条件は何かという事を渋谷選手は掴まないと、練習課題にしないと、こういう強敵が現れてくると、渋谷選手は色を、光を消されてしまいます。そういう意味でイメージチェンジを図ってもらえると良いなと思います。テレル選手に関しては、パワーがあってこれだけ上手いと一体誰が止めるんだという事になるとは思いますが、どこまで上に行くのか、そういう事も含めて、6位のランキングからどこまで上がるかというところでは、大変楽しみな選手だなと再確認させてもらいました。

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