セミファイナル スーパーヘビー級戦 5分3ラウンド
○高森啓吾(1R 0分40秒、KO/スタンドのパンチ)石井淳×

私が担当レフリーでしたが、一緒にリングに上がっていると、キャンバスが撓ってるのではないか、すり鉢上になってるのではないか(笑)というイメージを持つぐらい、重い選手の試合は迫力があるのと、一つ一つの技が大変危険だな感じる階級の両者です。危険な香りがそのまま炸裂して、グラウンドのパンチに因る高森選手のKO勝利でした。石井選手にしても高森選手にしても、このクラスの選手は危険な試合が多いですから、1発で決まってしまう事があります。今回の試合もそういう試合だったと思います。なんですが、高森選手、流石だなと思ったのは、この試合前に休憩が入り、終って、オープニングが元・極真、野地選手のMEGATON入団の挨拶があり、その直後でしたから、これは嫌でもプレッシャーがかかってしまいます。ましてやパンクラスリングでゴドシー選手をパワーで押し切った石井選手ですから、そのキャリアを持った選手、しかも自分よりも約10kg重い選手と、開始ゴングと同時に前に出て行って打ち合うというのは並大抵ではありません。良い選手だと思います。この中で1つ勝負を分けたのは、3戦して、そのトータルが2分少々ぐらいの試合時間で、今はミスター秒殺と言っても良いと思いますが、負けるにしても、勝つにしても秒殺という中で、自然と試合になったら前に出て行くというスタイル、そして石井選手は打つのも組むのも強い選手です。ですが、ここのところ石井選手は相手の正面に立ち過ぎてしまい、打撃自体オープンブロー、フック系のオープンパンチが多いので、顔面が空いてしまいます。今まで少しだけ角度を変えて入っていたのですが、ここのところ試合慣れがあるのかも知れないし、練習相手が自分より小さいのではないかなと、その部分が多いかなと危惧していたのですが、ちょうどその正面に立って打ち合うというところで、高森選手が有効打を多く当てて、左フックの良いのが石井選手に入ってしまいました。その時点で石井選手が後ろに下がって棒立ちという形でした。高森選手が、野地選手の入団に因って、おっ!と思う瞬間がありました。それはパンチの合間に膝蹴りを入れたり、少しだけ体の角度を変えて打ったり等といったような事、下がった相手に足で足でちゃんと付いて行っているようなところ。そういう点では大きな選手、重い選手同士できちんと練習でき始めたなというところでの、今後の高森選手の闘い方にも光りが差しているのかなという臭いを感じました。逆に石井選手は正面に立つ事さえしなければ、彼のパワー、センス、そういうものがあれば、この1敗は負けは負けですが、致命的ではないので、仕切り直して、自分の欠点がある程度ここで判ったとしたならば、それを直して、そして次の立ち合いに出ていってもらいたいなと思います。そんなスーパーヘビー級でした。

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