第4試合 ライトヘビー級戦 5分3ラウンド
○渡辺大介(1R 4分53秒、TKO(レフェリーストップ)/グラウンドのパンチによる)百瀬善規×

近藤選手を苦しめた、あの禅道会の百瀬選手が久しぶりにパンクラスのリングに上がってくれるという事で、その存在感を目の当たりにしたいなと思いました。彼の様な一流どころが上がってくれると、華々しいリングが近頃多くなって来ているだけに、キリッとしたところがあって私は大変好感を持っていますが、その百瀬選手が久しぶりに上がってくれました。対する渡辺選手は、一昨年ぐらいから試合の都度に一つ一つ課題を消化して来て、郷野選手には一試合に2回もKOされましたが、その後にも今年2月の韓国のトーナメントでは2回戦を勝ち残っています。しかもここのところの試合は、彼の意思が在るのか否かは別として、かなりのKO率を誇っています。そういう意味ではパンクラスの門番と言われている所からまた一つ、何か違うニックネームが付きそうな渡辺大介選手です。ただ、その登り調子の鼻っ柱を思い切り郷野選手に砕かれ、その郷野選手に匹敵する様なネームバリューを持っている百瀬選手ですから、どういう試合になるのかな?という注目の一戦でした。

試合の方は4分半過ぎぐらいから、それまでは渡辺選手が百瀬選手の打撃をウィービングとダッキングで見切っていく展開から、合間を見てカウンターを出していくのですが、渡辺選手が百瀬選手をコーナーに追い込んでいきました。そういう意味では最近唯一負けた、郷野選手の試合を彷彿させる様な展開だったと思います。そして時折、百瀬選手のパンチが渡辺選手をとらえるという点では、1Rに結末が無ければ、イーブンを付ける様な試合でしたが、後半唐突に終焉が周って来ました。渡辺選手は何が良かったかというと、間合いです。百瀬選手を自分の間合いにちゃんと置いて、そして試合を動かしたので、実質手足を動かしていませんが、百瀬選手が動かざるをえない展開というものを組み立てていったと私は判断しています。百瀬選手はその様な意味では、彼が一流なのは、並みの選手なら恐くて、突っかかってパッと前へ出て行ってしまいます。それを耐えて耐えて耐えながら、なるべくリスクの少ない形の中で試合を動かそうとしたところでは、流石一流だなと思いました。そしてスタンドでの組み合いもある中で、渡辺選手がペースを掴んでいったというところです。

試合は唐突に渡辺選手のハイキックが百瀬選手をとらえて、ハーフダウンの様な形で、マウントパンチが何発か良いものが入り、そのままレフェリーが止めました。試合後、百瀬選手は意識が戻ってから「試合が出来る」という話をしましたが、倒れて細かいパンチが出た時点で意識が飛んでいましたから、そこは仕方無かったかなという試合でした。勝敗は1ラウンドで決まりましたが、このハイキックが無ければ、当然2ラウンド、3ラウンドと試合は進んでいったと思います。その中で、辛い闘いをずっとして来た渡辺選手が、間合いという、目に見えるけど何か解らない、組み合ったり、立ち合ったりしない限り、中々相手にしか解らない様な世界を手に入れつつあるのかなというところでは、次の渡辺選手の試合にそれをどれぐらい解ったのかなというところで、注目してみたいと思います。

百瀬選手はちょっとだけ元気が足りなかった様な気がしました。これは相手に間合いを征されて動きを止められてしまうと、結局その様にも見えてしまうのですが、私の感が当たらなければ良いのですが、どこかケガをしてなければ良かったなと、万全な良い状態で試合に臨んでもらいたかったなと思うのですが、そうでは無い事を祈ります。

>>> N E X T