第3試合 ウェルター級戦 5分2ラウンド
○大石幸史(2R 4分13秒、TKO(レフェリーストップ)/グラウンドのパンチによる)倉持昌和×

倉持選手は修斗のキャリアがすごくある選手で、大石選手としても、パンクラス戦績は負けは1敗のみなので、負けない闘い方、勝つ闘い方を求めて、日々練習をしている大石選手と、海千山千、色々な経験値を持つ倉持選手の、果たしてどんな試合になるのだろうかという1戦でした。

この試合で大石選手は構えを変えました。クラウチング気味で、手でリズムを取りながら相手の所に入って行くというのが今迄でしたが、それだとどうしても体の力が抜け切らない事、出てくタイミングで相手のカウンターの細かいジャブを貰い、自分も顔を腫らす事がすごく多かった事も彼の中にあったのでしょう。そういうダメージを減らす事も含めて、構えをリラックスした形に変えようと、ノーガードの様に手を下げて、オープンガードな形で構える、異色なスタイルで登場しました。一方倉持選手は、オーソドックスに踏み込んで強く打って来るという形でした。

今回、大石選手のリードが速かったです。それでしっかり相手との距離を取りながら強いパンチを打ち、テークダウンを取り、また強いパンチを打っていきました。やはり構えの間合いが良ければ、以前も話しましたが、組んだ時に強いです。その部分で大石選手はやはり着々と自分のファイティングスタイルを作って来ているな、というのが窺えました。あと、いかなる所からでも強く打てる事を大石選手は少しづつ心がけている様で、1R終了時で倉持選手の顔がかなり変わっていました。特に膝蹴りも絡めてというのも相俟ったので、2Rを迎える頃には口の中がざっくり切れていました。私が担当レフェリーでしたが、1度ドクターチェックを入れています。これは左側の眼窩底骨折、若しくは頬骨の骨折という疑いがある程、顔が腫れました。画面上は見えないと思いますが、マウスピースをしていますが、やはり強いパンチを受けると口の中がざっくり切れ、腫れます。頬の内側、深さ1cm近く、腫れた所が充血して、そこがぱっくり口を開けて、まるでザクロの様な傷口です。見ると本当に気の毒だなと思うくらいです。それが両方の顔面を襲い出して来て、最後に右目尻から出血した所で、レフリーストップでした。見た目、出血等ありますが、逆に見えない所で大きく腫れたりしているという事は、ダメージが大きいので、仕方無しに試合を止めました。

強く出た、そして自分の体勢を終始変えなかったのが大石選手の良い所でした。珍しくここ数試合の中では大石選手は顔が傷付かないでリングを降りました。倉持選手は良いものを貰い、自分の試合パターンが作れなかったのが、今回心残りだったと思います。もう1度調整して、再度パンクラスに挑戦してもらいたいなという試合でした。

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