第2試合 ライトヘビー級戦 5分2ラウンド

佐藤光芳
(パンクラスGRABAKA)

白井祐矢
(アンプラグド国分寺)
2R 5分00秒、判定/2-0
判定:梅木良則(17-19)大藪吉郁(19-19)廣戸聡一(18-19)
白井祐矢:イエローカード=1
■佐藤光芳(89.5kg) セコンド:菊田早苗、郷野聡寛
■白井祐矢(87.8kg)
レフェリー:和田良覚

GRABAKA影の番長と言いますか、決して派手ではありませんが、重厚な試合運びで定評のあるGRABAKA佐藤選手。対して、柔道出身でオールマイティーに動く事が出来ると評判の白井選手が、どんな試合をするのか。層の厚い、ライトヘビー級の中で、どんな自分らしさを見せるのかという所での注目の1戦でした。

開始早々展開は、じっくり相手を見ていく佐藤選手に対して、積極的に出て行く白井選手でした。流石、柔道出身という場面が所々見えました。今の柔道は、昔の様に暗黙に組み合い、投げる、ではありません。国際ルールの中で、どちらかというと、自分の組み手が取れるか否かの、組み手争いという凌ぎがあります。これはあたかも、ボクシングでいう、ジャブの応酬の様な所があります。組み手を気にして、取りに行き過ぎると、それが自分のバランスを崩し、適当に受けていると、どんどん良い位置に組まれてしまいます。そういう所では、自分の立ち位置、姿勢、それは崩さず、良い所に持って行く為には、やはり前組み手の攻めぎ合いに勝てないと、今の柔道は良い所にはいけません。特に今年のオリンピックを見た方はわかると思いますが、そういう国際ルールの中で、攻めさせない柔道という主流がありましたが、日本柔道は、そこから一本取りに行く柔道に変わってきました。そういう時代の中で活躍していた白井選手の組み手と、パンチのリードジャブの感覚を、私は違和感無く見てました。佐藤選手は落ち着いて見ていきますが、その間隙を縫い、重い足腰のまま、適確に手足を出して行くという所で、白井選手は潜在能力の高さを十分見せたと思います。

試合は1ラウンド、白井選手が終始佐藤選手を追い込んで行きました。2ラウンドの途中、白井選手のローブローがあり、イエローカードが出ましたが、それでも白井選手が勝てたのは、内容としては一気に自分のものにした試合だったと思います。完勝だったと思います。新しい選手がドンドン出て来て、自分らしさをドンドン出していきます。現在は、今迄自分がして来た競技をベースに、上手く総合に入れる選手と、それからそういうものは取り敢えず脇に置いて、総合の基本と言う形で、総合の闘い方を模索していく選手の、二手に分かれつつある様な時代背景があると思います。白井選手は先に言った様に、自分らしさというものを、今迄の経験値の中で、そのまま出していく所が、そこに思い切りの良さが反映してる様に見えて、大変好感の持てる試合だったと思います。佐藤選手も「あれッ!?」と思ったのではないでしょうか。今迄GRABAKAとして、その選手達が色々な大会で対戦者にして来た事が、今度は良い意味で、他団体の選手達に普及して来て、逆に自分達に戻って来てるというのを、何と無く感じた一戦だったかも知れませんね。ここで佐藤選手、プロなので、1回、2回負けて、1回勝って、どうこうというのは無いと私は思っていますが、今回を払拭して、佐藤選手らしい闘いをリセットして、今後展開して欲しいです。決して佐藤選手の闘い方に問題があったとは、私は思いません。佐藤選手らしい試合運びをしていました。ただ、白井選手が、それに余りある、自分の持ってるものを出した一戦だったと思います。 それぞれの思いを秘めて、次の試合に繋いでもらいたいなと思います。

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