第4試合 ウェルター級戦 5分3ラウンド
ランキング6位
和田拓也
(SKアブソリュート)

井上克也
(RJW/CENtrAL)
3R 5分00秒、判定/3-0
判定:廣戸聡一(28-30)大藪吉郁(27-30)和田良覚(25-30)
■和田拓也(74.8kg) セコンド:松本天心、竹内出
■井上克也(74.8kg) セコンド:光岡映二
レフェリー:梅木良則

この試合も、「何で4番目なんだろう?」というぐらい、逆にいうとマニア、玄人としたら、この試合は結構待ちに待ったマッチメークの様な気がします。以前から言ってますが、私は和田選手も凄く好きな選手で、表情を変えず淡々と試合をしながら、実は物凄い集中力を持っています。特にリングサイド、同じリングに上がりレフェリングをしていると、和田選手ほど集中力を持って闘っている人は中々いません。深い集中をしながら、いわゆる武道で言う八方眼、要するに四方、八方に凄く注意を払っているのが凄く感じられる選手です。それが立って良し、打って、組んで、投げて、寝て良しの、ユーティリティーファイターの和田選手の質を保っているものは、元の身体能力もありますが、そういう強いハート、集中力が、私は凄くある故だと思います。そして井上選手、RJW/CENtrAL、このチームの印象が、そのまま井上選手の闘い方に投影されているくらい、彼のスタイルというのも凄く好感が持てます。やはり何かに守勢しない、自分のやりたい時にやりたい事をするという、その辺が先の中西選手、三浦選手もそうなんですけど、この和田選手、井上選手、いずれも自分の形、何年か前から私は今の総合格闘技は、ちょっとどうなんだろう?という時に、闘いの、勝つセオリーの様な形の中で、こじんまりした試合があり、一本取りにいく、勝ちにいって欲しいという事を常々言ってきたと思いますが、それをきちんとやってくれてるというところでの、この4選手は大変見応えのある試合だったと思います。

試合は井上選手が30フルマークの3-0で勝っています。ジャッジの和田さんにしてみると、30-25というかなり大きな開きがありましたが、これは和田さんの、パンクラスのジャッジグの取り方にすると、いっぱい取り過ぎてしまいましたが、後に反省しきりでしたが、要所要所で井上選手がマークを取ったのは仕方無いと思います。その一つの要因を私はこう感じたのですが、どうも和田選手、左拳也を痛めていた様な気がします。これは相手のケガもあり、確認を取ってないので確かにはわかりませんが、左のパンチを一度も出しませんでした。あの和田選手が左のパンチを一度も出さず、牽制のリードジャブを当たらない様に出してるぐらいしか、左の印象はありません。通常ならば、踏み込んで1、2、プラス左フック、若しくは1、2、3、4、左のフック気味のストレート、若しくはアッパーという形で攻撃に幅を持ち仕掛けますが、今回は右のストレートのみでした。そういう意味では、和田選手の体調は今一つだったのかなと懸念を抱き、そういう意味ではもったいない試合でしたが、ケガに関しては確かな事はわかりません。

ただ、流石だなと思ったのは、左を使わない代わりに、実に左右の蹴りをリードジャブの代わりに使ったりという形の中で、右のストレートを危険が無い様に使っているところです。これは映像を見る機会があればご覧になって下さい。和田選手は上手いなと思いました。右ストレート1本で入っていけば、井上選手程になれば、完全に合わされてしまいます。足を使い、当てないリードを上手く使いながら、右のストレートをきちんと、危険の無い様に使いました。それは和田選手、流石だと思いました。そこからお互いに、積極的に技を仕掛け1本取りにいきました。その様な中で、判定をものにしたもう1つ大きなポイントが、組んでからのアームロックに移行できたところだと思います。そして上手く足で、変形の横四方とでも言いますか、和田選手の腕と、頭部を、足でまたぐ様な形で顔面を空けさせ、そこに斜めからパンチを打ち込みましたが、和田選手は1ラウンド、それで面食らったのではないでしょうか。簡単に顔面を足でパスさせましたが、その途端、2ラウンド目からは、その形を取らせない様にしました。そういう意味では技の凌ぎあい等が見れて面白かったです。和田選手がケガをしてるのかはわかりませんが、バランスの良い和田選手を見てみたいなと思います。大変惜しい試合でした。とても面白かったです。

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