第5試合 スーパーヘビー級戦 5分2ラウンド
ランキング8位
謙吾
(パンクラスism)

アレックス・ロバーツ
(KJK/Justiceマネージメント)
2R 5分00秒、判定/2-1
判定:廣戸聡一(19-20)大藪吉郁(20-19)和田良覚(18-19)
■謙吾(104.5kg) セコンド:高橋義生、田代勝久トレーナー
■アレックス・ロバーツ(104.6kg)
レフェリー:梅木良則

判定が2-1でしたが、立ち技の打撃の攻防でロバーツ選手、多分グラウンドの支配で謙吾選手という感じで分かれたと思います。試合は今申し上げた通り、序盤から立ち技の応酬で、ロバーツ選手が良い顔面のパンチを放ち、1ラウンドの前半からペースを掴んでいき、そこで踏みとどまった謙吾選手がテークダウンを取って、ハーフマウント、若しくはガードでの攻防が1ラウンドの見所でした。謙吾選手のポイントは、採点規準としてあったのだろうと思いますが、謙吾選手は今焦っているのか、自分の体勢でも、結局下から殴られたりしています。そしてコントロールをしているというよりは、要するに、固めているという形です。ですから、押え込みの掛け逃げの様な形です。ポジションとしては有利な体勢ですが、ポジション自体の評価点としては、ちょっと苦しい展開だったかなと思います。

それに対してロバーツ選手は、どんな状態からでも、とにかく技を仕掛ける事に終始してたので、その部分がポイントの差になったのかなと思います。2ラウンドになり、全体のグラウンドのコントロール等、ポジション的に謙吾選手は有利でしたが、中盤以降からのダメージが多く、あと1、2発という所まで追い込まれましたので、そのポイントを最後まで挽回出来なかったのが、判定の差だったと思います。謙吾選手、今のままでは、良い時のらしさが出ません。何故かと言ったら、序盤のラッキーパンチをもらい過ぎです。だから開始早々からずっとダメージを受けている試合でした。画像をみればわかります。謙吾選手の試合は、開始の立ち上がりで、打ちにいく所で、先に自分が打たれてしまいます。やはり重いクラスですから、スーパーヘビー級の最大の特徴は1発良いのを受けたら、中々それを解消出来ない事で、それを序盤に受けてしまっています。それが焦りにもダメージにもなっています。そこから苦しんで試合をしていくというのが、ここ数試合の謙吾選手で、そこを変えなくては駄目です。謙吾選手の戦績は、まだ大きく負け越していません。ですが、ここのところの負けっぷりが芳しくないので、それは何としても歯止めを掛けなくてはなりません。という事は、一度打撃を捨てて、基本事をするべきです。

何故デビュー当時は、今よりも荒い打撃なのに、有利に闘ったり出来るのかと言ったら、ラグビーの有無も言わせぬ突進力と体の圧力、それがあったから荒いパンチが当たったし、自分のペースで闘えたのだと思います。あのルッテン選手が後退した、謙吾選手のデビュー戦を見れば、私はまずそれが大切だと思います。ボクシングの練習をするのは構いませんが、それが得意ではない事、謙吾選手が負けているのは、殴られて負けで、それはダメージも大きいです。殴られるのが嫌で適当に組んでいき、それでも相手が倒れる程のパワーと身体能力を持ってるんです。だったら、「初めから自分で倒しにいきなさい」と私は言いたいです。自分の基本が何であるのか?バックボーンが何であるのか?という事です。今回の関選手、石毛選手、白井選手、中西選手、三浦選手、和田選手、井上選手、自分のバックボーンをちゃんと持ち、そこから作ってる選手達です。パンクラスismでありながら、そのismから一番遠い位置にいるような、この日の謙吾選手でした。魅力的な闘いをするというのはどういう事なのか?そこを私は警鐘したいです。辛口になりましたが、それぐらい、私はもったいない試合だったと思います。逆にロバーツ選手は、自分らしさに攻撃性のある試合をしたという事で、私は好感の持てた試合だったと思います。

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