第6試合 ウェルター級戦 5分3ラウンド
ランキング3位
伊藤崇文
(パンクラスism)

門馬秀貴
(A-3)
1R 1分34秒、ギブアップ/三角絞め
■伊藤崇文(74.2kg) セコンド:渡辺大介
■門馬秀貴(74.8kg) セコンド:外山慎平、守山竜介代表
レフェリー:梅木良則

この試合で何が嬉しかったか?印象的か?と言ったら、門馬選手が門馬選手らしい形で、パンクラスの公式戦で勝利を挙げてくれた事です。これは本当に嬉しかったです。時間で言うとたったの1分23秒、秒殺の範囲です。やった事といえばフロントチュークから三角絞めです。実際に見合っていた時間は数秒です。ゴングが鳴り、細かい打撃の牽制から、伊藤選手がタックルに入って行く時間まで早々無かったと思います。数秒で入って行きました。それを対処し、フロントチョークに入ったというところから、およそ1分30秒掛けて、フィニッシュに至りました。その間で私が何を感じたかと言ったら、いつもの感覚で、ヒット&アウェーを繰り返しながら、様子を見て、自分のペースに持ち込みたい伊藤選手に対して、いつものスロースターターで合わせていってしまう門馬選手ならば、もうちょっと違う展開になったと思います。ですが、門馬選手は意を決していました、一本取りに来てました。気の弱い時には、フロントチョークが抜けると後が大変だな等の、その時に腕がパンパンになっていたりすると、次の展開がつらいという部分もあり、掛け逃げしてペースを掴んだり、印象点を狙ったりする人も少なくありません。

この日の門馬選手は違いました。そこで全部使ったという感じです。映像を見る機会のある方は、試合終了直後の門馬選手を見てもらいたいです。一本取り、ゴングが鳴り、ニュートラルコーナーの所に駆け上がって行きますが、その直前に足がカクンとぬけてるぐらいで、縺れてます。それぐらい、彼はこの1分30秒で全部を使っていました。それぐらい一本を取りにいきました。その勇気、この部分がプロだと思います! 門馬選手は元々そういうスタイルです。『ネオブラッド・トーナメント』の時は、ファーストチャンスカードを取ったら、絶対そこから突き崩していきました。それがデビュー直後から、自分でプランを立てていくのは良いのですが、相手が上手くなってくるとプラン通りに動かなくなって来て、結局中々自分のスタイルが貫けませんでした。それを今回、門馬選手がやってくれた事が本当に嬉しいです。彼の才能が途絶えちゃうんじゃないかと、毎回毎回ハラハラしていました。そういう思いからすると、凄く嬉しかったです。逆にその必死さに気付いた時は伊藤選手は遅かったです。1分ぐらいの所で、フロントチョークが上手く抜け始めましたが、そこからどちらが初めに対処するかでしたが、物凄い速度で切り替えて来たのは門馬選手で、それで三角絞めに入りました。その対処が遅れた分だけ、結果的に言うと、伊藤選手は自分のチャンスカードを引けませんでしたし、何も出来ませんでした。それは伊藤選手は立ち合いの形が悪く、それにより、打撃の後のタックルというのが彼らしい低い物では無くなりました。それがいけません。彼が『ネオブラッド・トーナメント』直後から、若き天才と言われつつある頃は、彼のタックルは本当にキャンバスに水平に膝の高さで入って来る、良いものを持ってました。それがスタンドの構え方が変わった時点で、それが影を消しつつあります。そういう意味で今回は惜しい試合だったと思います。それよりも勝った門馬選手が良かった! 以上。

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