第4試合 ヘビー級戦 5分3ラウンド

野地竜太
(パンクラスMEGATON)

柳澤龍志
(フリー)
3R 5分00秒、判定/3-0
判定:廣戸聡一(30-28)松宮智生(29-28)梅木良則(30-27)
■野地竜太(98.3kg) セコンド:矢野卓見
■柳澤龍志(97.6kg) セコンド:村上和成 、柴田勝頼
レフェリー:岡本浩稔

野地選手は、闘っている印象も沸かないままのデビュー戦でしたから、これが実質のデビュー戦というイメージになると思います。それに対して、フリーになっておよそ4年の柳澤選手が、この旗揚げのNKホールの最後の興行に出場となりました。旗揚げ戦、柳澤選手は約40秒のルッテン選手との試合で、火を付けた男でした。私もあの興行が初レフェリーで、デビュー数試合目に柳澤選手が目の前で血を吹き倒れてしまいましたから、やはり凄く印象に残る試合でした。結局NKホール最後の興行で、そんな柳澤選手が旗揚げメンバーとしては唯一リングに上がりました。鈴木選手も挨拶では上がりましたが、試合をしたのは柳澤選手だけでした。何か不思議な感じがしました。柳澤選手は、今回相当きつい試合になったと思います。やはり背負っているものが違います。今は新日本プロレスで試合をしていますが、旗揚げの頃の苦労、色々なものを忘れる訳はありません。旗揚げ試合であれだけ思い切り負け、そこから『ネオブラッド・トーナメント』の決勝に進んだり何かするという事を経験しながら、キャリアを積み、そして今に至る訳です。そういうプロセスの中の、元パンクラスだった事は消せない事実ですから、そういう意味では、パンクラスの先輩と言う意味での野地選手への意地もあるだろうし、逆に言うと自負もあると思いますし、それと共に、現在のプロレスラーとしてのポジションも背負わなければいけません。総合格闘家、リアルファイターとしてのキャリアを背負っていたり、本当に今回、彼は疲れたと思います。

そんな中の試合でしたが、柳澤選手がどんな形でグラウンドを展開して行くのかというのが、一つの興味の範疇でした。野地選手は練習で行なって来た、グラウンドへの対応を、どう体でこなしていくのかというのが、楽しみでした。初めはお互い様子を見る形で、遠い間合いから打撃のカウンターを狙い、柳澤選手は胴タックルからコーナーに押し込み、テークダウン狙い。対して野地選手はそれをいなし、離れ際で膝、パンチなりを放って行く展開の1、2Rでした。序盤、柳澤選手は流石に良いペースで試合を運び、2R辺りではかなり良いポジションも取り、バックを取り、チョークの体勢にも入りかかりました。ですが、ヘビー級は良いパンチを貰うと徐々に動きが止まります。試合を制したのは、意外に野地選手のローキックで、これは柳澤選手の懐を浅くし、突進を鈍らせる、キーとなる攻撃でした。何発か重いローが入った時点で、柳澤選手の1歩目が出なくなり、元々前傾して高いタックルに入る癖のある柳澤選手は、踏み込みが浅くなりました。それに因り、更に体が起きてきて、それをきちんと見取り、だんだん野地選手の間合いになって行きました。見た目は手で打っている様に見える、組み合いからのアッパーも、ヘビー級はそれでも効いてしまうし、オープンフィンガーグローブは薄いですから、それだけでも相当ダメージがあったと思います。それでも柳澤選手は2R、アンクルホールドと膝十字の大きなチャンスがありました。特に膝十字は、あと少しで決まる体勢でしたから、最大の勝機を逃してしまいました。野地選手は危ないという事は認知出来てますから、譲ってはならないところは必死に守っての、次の展開になりました。後はスタミナ勝負となり、3R目からは野地選手のパンチが適確に当たりだし、終了間際は、柳澤選手はプライドだけで立っていたという感じで、ゴング間際は、ダウンを誤魔化す為にタックルに行っていたという感じで逃れたので、この判定は仕方ありません。

しかし、良くリングに上がってくれました。ありがとう、と感謝します。他人が言う程、さばさばした気持ちで、やはりこういうリングには上がれないと思います。試合が終った後に高橋選手と話しをしているが目に入りましたが、そこには10年前の横浜の道場で、同じ様に話しをしていた2人がダブったというのを、皆さんへ伝えたいです。試合は殺伐としてしまいますが、ある意味、心にグッと来る第4試合でした。

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