今週末に行われる、2月4日(金)後楽園ホール大会がいよいよ近づいて来ましたが、今大会の第3試合で、烏合会の小谷野澄雄選手との無差別級戦が決定している佐藤光留選手。当初は、アレックス・ロバーツ選手(空柔拳会館/Justiceマネージメント)との無差別級戦が予定されていましたが、ロバーツ選手の練習中のケガにより、小谷野選手へと対戦相手が変わりました。そこで今回のvs小谷野戦についていろいろお話をうかがいたいと思いますが、その前に、先ずは昨年、2004年を少し振り返っていただきたいと思います。昨年は5戦して2勝2敗1引き分けという結果を残していますが、佐藤選手としてはどのような1年だったのでしょうか?
佐藤光留:ムチャクチャですね・・・。昨年1年間でいかに自分が上下していたかが分かりますね(苦笑)。

昨年1発目の試合、1月の『DEMOLITION』で、「DEMOLITION MIDDLE WEIGHT 4MAN TOURNAMENT」での優勝を果たし、幸先の良いスタートを切ったと思ったのですが・・・
佐藤光留:いや、でも、たまたま決勝が年の初めに来ただけで、本当は2003年のうちにやる予定の試合でしたから。だからあんまり・・・まぁ、トーナメントの優勝っていうのは勿論嬉しいですけど、それ以上に外山慎平選手(和術慧舟會 東京本部)と中村大介選手(U-FILE CAMP.com)に『DEMOLITION』という舞台で勝てた事の方が大きいですね。

ご自分で考える、昨年・2004年の良かった点、悪かった点という事に関してはいかがですか?
佐藤光留:ん〜、不法滞在の中国人を捕まえた事を未だに引っ張られるのが良かった事であり悪かった事ですね(苦笑)。あと、鈴木(みのる)さんに対戦表明した事も未だに引っ張られるのが良かった事であり悪かった事かな。・・・そんな感じかな〜。あとは・・・試合の内容とか戦略的な事で言えば、これはもう、365日で区切る事ではないので・・・そう思いますね。

昨年に関しては、先ほど「ムチャクチャだな」っておっしゃいましたけど、2005年、今年に関して はどんな年にしたいとお考えですか?
佐藤光留:いや、あんまりないですね・・・。年も変わったから新たな気持ちでって言うのは、その一瞬一瞬をちゃんと生きれてなかった人が言う事だと思うんですよね。僕は12月31日も1月1日も変わらない生活をしてましたから。昼に練習して、時間があったらウェイトもして。普段出来ないような練習もしましたし。全く変わらなかったですね。近藤(有己)さんが出場した『PRIDE』に行ったぐらいかな・・・。

その『PRIDE』さんでは、高橋義生選手と謙吾選手を除くismの全選手が、近藤選手の入場時に一緒に花道を歩きましたけど、そこで何か感じた事、思った事とかってあります?
佐藤光留:一緒に花道を歩いた事に関しては何もないですね。大晦日に向けて、近藤さんと一緒に練習してきたって事が一番大事だったと思いますから。別に花道を一緒に歩かなくても、勿論応援するつもりではいましたし。だから一緒に歩いたって事に関しては特別何もないですね。

では、その『PRIDE』さんでの大一番にパンクラスを背負って出場した近藤選手の、「勝つパンクラスで歴史を創っていきたい」という発言に関してはいかがですか?
佐藤光留:ん〜、ismの選手の中に僕が良く相談する人がいて、その選手には話したんですけど・・・あんまり俺、ismにいちゃいけないんじゃないかなっていうのを最近感じますね・・・。「勝つパンクラス」って勿論大切な事なんですけど、勝つだけのパンクラスになってしまうと、そうだったら、僕は・・・必要じゃなくなる・・・かな〜って、そんな感じがします。まぁ、そもそも勝ってないですからね、僕(苦笑)。そんなヤツにギャーギャー言われたくないと思いますけど。他のismの選手も。だからそういう意味で最近悩んでます。でも、今すぐismをどうこうってわけではないですよ。あの〜、試合がありますから。まぁ、試合があるからこそ悩むんですけど・・・。それにやめたいんじゃないですよ。僕、ismをやめたらパンクラスにはいないですし、パンクラスをやめたら格闘技もしてないですから。そういうのがあるから良く考えてるんですよね。別にismのみんなと仲が悪いわけでもないですから(苦笑)。ただ、何て言うんだろう・・・「もう勝てる!」って思っても、多分また足とかパッて取りにいって、下になっちゃったりするんスよね〜(苦笑)。自分のやりたいこととして、どの試合でも・・・何て言うんだろう・・・魅力的な、自分の信念に正しい自分で試合をしたいですから。その信念が、他のismの選手とは少し差があるかなって感じます。でも、それはファンの人も観ればわかるだろうしね(苦笑)。

あの〜、無差別級戦っていうのは、ご自分から望んだことですよね?
佐藤光留:そうそう。「とにかく無差別級戦をやらせてくれ」って。でも、それは前々から言ってたんですよ。大きい選手と対戦したいって。体重とか・・・勿論重くて大きい方が有利っていうのはあるんでしょうけど、あんまり・・・。それこそ「勝つパンクラス」にはなぞってないと思いますね。こんなこと言うのは。その辺がちょっと差があると思うんですよ。「勝つ」ってことを前提に置けば、同階級と言われるところで対戦する方が当然じゃないですか。「勝つパンクラスでみんなで頑張ろう」って言った時に、不利な所にわざわざ赴いて行くことはないわけじゃないですか。でも、僕は別にそんな体重差なんか考えないし。体重が重い人間と闘った時にどうするのか?っていう事は、パンチが強い人間と対戦した時はどうするのか? 寝技の強い選手に対してこういうトレーニングをやる、っていうのと同じ感覚だと思ってますから。

無差別級の闘いで何を見せたいと思いました?
佐藤光留:何にも関係ないってところを見せたいですよね。ちっちゃくたって・・・実際ちっちゃいですからね、僕。174cmで80kgちょっとですから。『PRIDE』の会場で実際思いましたし。「俺、ちっちぇ〜な〜」って(苦笑)。まぁ、当たり前のことをしていたら、プロレスラーとして失格だと思いますし。だから、そういうことをしに行こうと思います。

そういうお気持ちがあって、先日の『キャッチレスリング トーナメント』でも100kg未満に出場したと。
佐藤光留:そうですね。まぁ、80kg未満には北岡(悟)も出ましたしね。自分は100kg未満で良いかなって。あの〜、リスクがデカかったじゃないですか。しかもイヤ〜なリスクが。アマチュアと呼ばれている選手を相手に、プロとしての実力とか姿勢とかを見せなきゃいけないわけですから。だから・・・何でもっとみんな出ないのかなって思いましたね。結局、パンクラスから出たのは僕と北岡だけで。何でもっとみんな出ないんだろう?って。だからその辺が他の選手と僕の感覚が違うところじゃないんですか? でもね、大事だと思います。だってメチャクチャじゃないですか。中4日で体重の重い人とばっかり、組み技でプロアマ混じったトーナメントをやって、それで総合もやってって。前人未到じゃなくて前代未聞ですよね。前人未踏って何かカッコ良いじゃないですか。でも前代未聞って、「やめろよ、お前」みたいなのがあるじゃないですか。でもそれこそが、それこそが僕の中のプロなんですよ。勿論、負けても良いから出るなんて思わないですよ。ただ、リスクがデカいからやらないって言うんだったら・・・みんな格闘技の選手なんだと思います。僕は未だに考え方がプロレスなんですよ。リスクがデカいからやる気が沸いてくるって言うか・・・。プロとして、自分の生き方が商品になるのか? それとも、80年生きるとしたら、その中の10年間だけを上手く渡っていくためだけの職業なのか? 僕、自分のホームページで書いたんですけど、“プロレスラー”って職業の名前じゃないと思うんですよね。やっぱり生き方だと思うんですよ。今の時代でいう“プロレスラー”って。総合というのがドンドン出て来ている中での21世紀のプロレスって。僕の中ではそういう理解です。だからそうありたいですね。




わかりました。では、2月4日(金)後楽園ホール大会でのvs小谷野澄雄戦に関してですが、対戦相手がアレックス・ロバーツ選手から小谷野選手に変わった事をお聞きになった時の心境っていかがでした?
佐藤光留:まぁ、試合がなくならなかっただけホッとしたのと、小谷野選手になったから試合が楽になったかって言ったら、別にそうじゃないですからね。そう思ったらコロッとこけちゃうんですよ。だから良いんじゃないですか。ここは前向きに。

小谷野選手は、過去パンクラスに2度出場していて(2002年3月のvsKEI山宮戦、2003年3月のvs近藤有己戦)、更にその前はパンクラスのアマチュア大会で優勝している選手なんですが、小谷野選手の印象っていかがですか?
佐藤光留:わかんないですよね〜。みんなが「三●、三●」って言ってるけど、そんなこと言ったらね、僕もちょっと名前は出せないけど・・・●×●に似てるって言われるからね(苦笑)。

エ〜ッ!!(笑)
佐藤光留:ここ、伏せ字にしといて(笑)。あの〜、でもね、どれだけ自分が思い上がっとんねんって話ですよ。小谷野選手になったからどうこうって考えられるほどの選手じゃないと思いますから。僕は。自分でそう思いますから。だから気を引き締めて必死に行かないと勝てないですよ。

対戦相手が小谷野選手になっても無差別級戦に変わりはないのですが、相手が変わったことで、ご自分の中のテーマとか、その辺で何か変わったことはありますか?
佐藤光留:いや、変わらないです。だから無差別! 差別しない。差別はない! ただまぁ、単純にロバーツ選手と対戦出来なくて残念なところは勿論ありますけど、でも逆に小谷野選手を相手に「やってやる!」っていうのが同じくらいありますから。

パンクラスの2005年「SPIRAL TOUR」第1戦で、その所属にパンクラスの名前が付く選手としては一番目にリングに登場することになりますが、その点に関してはいかがですか?
佐藤光留:あんまりパンクラスとしては観ないで欲しいですね(笑)。佐藤光留であって、そこにパンクラスという基本理念があるだけですから。あの〜、やっぱり人は人ですから。「勝つパンクラスで」って言った近藤さんも、「そうだね」って言ったismの他の選手も、絶対に全員違うものなんですよ。ただ、パンクラスっていう名前を背負ってる以上は、簡単に譲るわけにはいかないですよね。それを無差別で見せたい。あの〜、自分はプロレスラーですから、自分のそのプロレスラーという生き方を売っていかないといけない。だから無差別なんです。

わかりました。では、今回の佐藤選手の無差別級戦を楽しみにしていらっしゃる皆さん、そして佐藤選手を応援していらっしゃるファンの皆さんにメッセージをお願いします。
佐藤光留:とにかくみんな声を出して、佐藤でも光留でも塾長でも何でも良いから叫んで欲しいですね。別に大騒ぎしなくても良いから。パンクラスの会場で少々おかしなことをしても、僕のファンだったら「佐藤がおかしいからファンもおかしいんだな」ってことで済むから(苦笑)。ホントね〜、カラオケ行ってチマチマした歌を歌うぐらいなら、会場で選手の名前を叫んだ方が絶対面白いよ。そう思いますよ、ホントに。でもこれ、絶対俺がカラオケ行けない僻みだな(苦笑)。



佐藤光留選手database