第4試合 ライトヘビー級戦 5分2ラウンド
ランキング6位
渡辺大介
(パンクラスism)

白井祐矢
(アンプラグド国分寺)
2R 5分00秒、判定/2-0
判定:廣戸聡一(20-20)大藪吉郁(20-19)梅木良則(20-19)
■渡辺大介(87.5kg) セコンド:伊藤崇文、佐藤光留
■白井祐矢(88.5kg)
レフェリー:岡本浩稔

 今大会中、比較的楽しみにしていた試合でした。何故かと言いますと、白井選手が注目したい選手の1人で、色々な可能性を持っています。ベースになる投げ、組み、強いハートで入っていく打撃も思い切りが良く、そういう点では勢いの付いている選手なので、彼の試合は今回注目したいなと思っていました。一方で、ここ一番のターニングポイントになる試合で、どうしても思い切りの良さを出せない渡辺大介選手。白井選手のような勢いのある選手に勝ち、そろそろ自分が波に乗りたいであろうという注目の一戦でした。

 今回、渡辺選手の技術力の高さが思った以上に見えました。白井選手は打撃、タックルで懐に入りたいところだったと思いますが、渡辺選手が立ち技をほとんどディフェンスしていましたので、そういう意味で渡辺選手は良く練習してるいなと思いました。映像で見ていただけばわかりますが、今迄の様に左のリードジャブを真っ直ぐには打たなくなり、パンチが切り込んで鋭角に入ります。これは白井選手がリードジャブを多々もらってしまった最大の原因で、ガードの正面からパンチが入って来なかったので、大変見難かったと思います。そして白井選手がパンチを打ち返す時に渡辺選手は打っていたところにはいず、元の位置に戻っています。またはその戻ったところにパンチを返そうとすると、渡辺選手はステップで位置を変えてしまいます。手と足のコンビネーション、通常はパンチと蹴りのコンビネーションと言いますが、基本的に足は何をやっていても動かさなくてはなりません。足がきちんと動いていて、その範疇の中できちんとパンチを出していること。そこから白井選手の繰り出してくるローキックを逆にきちんとダメージを与えるディフェンスをしています。そういう点で白井選手はなかなか懐に入れなかったと思います。相当な重圧を感じたのではないでしょうか。そして2ラウンド目に入り、白井選手は更に前へ出られなくなりました。しかし渡辺選手はそこからどうするか、という試合だったと思います。渡辺選手はある意味、攻守がきちんとしてきました。ヘッドムーブや守りに関するステップ自体も凄く技術が上がってます。ですから、今度はいかにテークダウンするかという事で、そこで意欲的に前へ出る事によって、もっとパンチの的中率が上がってくると思います。そうすると、渡辺選手のパンチ力を持ってすれば、いよいよKOの山が築ける様になって来ると思います。白井選手は、気持ちは前へ出ていましたから、判定が「2-0」で「3-0」にならなかったのはその点だと思います。因みに「20-20」を付けたのは私ですが、技術力という点では渡辺選手に一日の長がありました。これをどう、KO、ギブアップさせる事に繋げていくかが課題です。そして今回、ハートの強さだけでは前へ出られない事がわかった白井選手は、それを技術的にどう克服するか。良い意味で課題の残る試合でした。

>>> N E X T