セミファイナル フェザー級戦 5分3ラウンド

志田幹
(パンクラスP'sLAB東京)

イヴァン・メンジヴァー
(トリスター・ジム)
3R 5分00秒、判定/0-3
判定:大藪吉郁(29-30)廣戸聡一(28-30)梅木良則(29-30)
■志田幹(63.5kg) セコンド:北岡悟、大場裕司
■イヴァン・メンジヴァー(63.9kg)
レフェリー:岡本浩稔

この試合も大変ヘビーで、ハードな試合となりました。志田選手もメンジヴァー選手も今までの戦歴、実績も、きちんと裏打ちのある選手です。両選手ともにオーソドックスな闘い方をする選手なので、どういう展開になるのか分からない試合でした。両選手共にオールラウンドで闘える選手なので、もう少し色々な展開で闘うのかな、というイメージもありましたが、試合はフルラウンド、終始スタンディングの打撃に殆どのウエイトがかかりました。1ラウンドは全く互角でした。志田選手が細かく入りながら、小さな速いパンチを積み重ね、メンジヴァー選手は少し外側から入ってくる左フック等、フック系に変化を与えながらの攻撃と、入り際、離れ際のパンチコントロールが凄く上手い打撃の応酬でした。序盤、志田選手が打撃の中で、テイクダウンを狙いに行く場面も見られましたが、まだまだメンジヴァー選手の体も切れていましたから、なかなかそれを許さない展開の1ラウンドでした。2ラウンドに入り勝負を分けたのは、中盤のメンジヴァー選手のフックです。これがものの見事に志田選手を捕らえました。志田選手は軽い尻餅気味で倒れ、そこからグラウンドに入り、メンジヴァー選手が強いパウンドを放つ展開となりました。

試合後、志田選手と話をした時に、あの時はやはり意識が無くなったそうです。そして少し戻って来た時に、これはまずいと初めて思ったとの事です。その位1発1発の威力と破壊力があります。通常であれば志田選手が技術でテイクダウンを取る部分も、メンジヴァー選手は強い背筋力と脚力で凌ぎ切りました。そういう意味のトータル的なフィジカルの部分も高い水準の選手だなと、メンジヴァー選手は印象付け、2ラウンドのポイントを取りました。志田選手は3ラウンドに巻き返して行きますが、なりませんでした。ただこれは2ラウンドのワンパンチでシーソーゲームが傾いただけなので、総合力に、それだけ差があったという事ではないと思います。私は唯一、メンジヴァー選手に2ポイントを付けています。これは2ラウンド、3ラウンドの攻防の中で、何がポイントかというと、極めに行くという姿勢の中で、更に1本を取って勝ちたい、完全に相手を倒して勝ちたいという気持ちが、ちゃんと技術に裏打ちされて出て来ているところに、私は2ポイント付けました。実力差が2ポイント差あるという事ではありません。この試合の流れに対して2ポイントという事です。2人のクオリティーの高さというのが絡み合っての2ポイント差です。志田選手は怪我上がりの復帰戦という事もありましたが、そういう事を感じさせない、本当に安定した志田選手らしい試合でした。ただ若干いつもに比べたら、足から動いて行くという事が薄れたかもしれません。少しだけ頭から手からというのが見えました。いつもであれば、もっと踏み込みが深く強かったのですが、ちょっとだけ突っ込んでいた部分が見られたところを、改善してもらいたいなと思いました。メンジヴァー選手はクオリティーが高いというのが十分判ったので、フェザー級の水準の高さを見せてくれる様な、次の試合を期待したいなと思います。

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