メインイベント フェザー級戦 5分3ラウンド

前田吉朗
(パンクラス稲垣組)

志田幹
(パンクラスP'sLAB東京)
3R 2:17、KO/スタンドパンチ
■前田吉朗(62.9kg) セコンド:稲垣克臣、武重賢司
■志田幹(63.7kg) セコンド:北岡悟、大場裕司
レフェリー:和田良覚

前田選手はパンクラスで14勝目となります。志田選手は一昨年のNBTに続き、前田選手に二連敗という形になりました。序盤は前田選手らしからぬ展開となりましたが、これは志田選手らしい展開と言った方が良いかもしれません。1ラウンド、的確にパンチを捉えながらの足のスピード感は志田選手の真骨頂でした。前田選手は出入りとトリッキーな動きの中で、いかに志田選手の精密機械を壊すかというところでしたが、壊し切れずに1ラウンドを終了しました。そして2、3ラウンドの中で、お互いに打ち合ってはいるのだけれども、徐々にダメージを積み重ねて行く部分では前田選手に一利あったかなという感じです。
絶対的な差は何かと言ったら、前田選手は初動、仕掛けが早い事です。気付いたら動いています。そして早く動く為にはどうするかといったら、全身を使わないと動けません。志田選手も良いスピードを持っていますが、いかんせん手足が中心で動いてしまいます。その部分で最終的な人を倒すダメージの与え方とか、初動のスピード感、攻撃の幅、そういうものに関して、ラウンドが重なって行く毎に、少しずつ差が付いて来たかなと思います。

最終的にはスタンドパンチのKOになりますが、決め手は左ストレートだったと思います。左ストレートが志田選手の右目に当たって、見えなくなったのでしょう、コーナーにさしかかったところで、見えないし、ディフェンス一方だなというところでレフェリーストップという形になりましたので、良いストップの入り方だったと思います。終ってみたら前田選手の完勝という形でしたが、今回、前田選手はいくつか細かい部分で、ベストコンディションではないように思われます。ですからそういう意味では薄氷を踏む思いの中で、これだけの強い相手にノックアウトで勝つのですから大したものです。ですが、それをそのままにしておくと、やはり癖というのは身に付いてしまいますので、一旦リセットをかけないと、今後とんだところで落とし穴が来ますから、一回リセットすべきだと思います。
それにしてもこの因縁のフェザー級、前田 対 志田戦、よもやの完全決着が付きました。前田選手はこれからまた自分の実力を付けて行くと思いますが、あれだけ軽口を叩いていますが、ああみえても彼は芯から軽口を叩くタイプではありません。稲垣組長とういうものがいて、それを目指しながら、プロとして発言するというのは大変面白いと思います。そういう意味では前田選手も大変頭の良い選手なので、この後巻き返して、どうやって自分の態勢を立て直し、1ランク、2ランク上の闘いに臨んで行くか、大変興味深い試合でした。