第4試合 ウェルター級戦 5分2ラウンド

石毛大蔵
(SKアブソリュート)

小路伸亮
(KILLER BEE)
2R 5:00、判定/2-0
判定:梅木良則(20-19)小菅賢次(19-19)廣戸聡一(20-19)
■石毛大蔵(74.5kg) セコンド:松本天心、長谷川秀彦
■小路伸亮(74.9kg) セコンド:菊地昭
レフェリー:松宮智生

接戦、そして隠れメインに取れる様な凄く面白い試合でした。NBT王者がさあいよいよ冠を持って本戦に入って行く試合でした。こういうタイミングというのは昇り調子で、過去の例を見て行くと、良い試合をしてくれるし、その時の上の選手を食うパターンが多く、NBTからの3、4試合目位までの勝率が高いです。その位NBTで密に自分を高めた自信と、実績という物が、どれ位選手のレベルを上げているかというのが良く分かります。その小路選手を石毛選手は大変冷静に捌いて行きました。小路選手は勢いがあるのですが、昔の野球ファンでいうところの、長嶋茂雄デビュー戦で、金田正一投手が4三振を奪った試合の様な感じです。そういう技巧と力という物を、石毛選手が上手く見せて行きながら、勢い、力、技術のある小路選手を少しずつ翻弄していきました。

1ラウンドはその攻防が凄く見て取れましたが、開始早々の小路選手の勢いというのはやはり素晴らしかったですから、一本取りに行ける位の形まで持っていけているところも凄かったです。石毛選手はそれを少しずつレーン変更しながら、立ち技の形に持って行きます。小路選手は右のストレートとフックが強力で、それをホットハンドという形で、見せ駒にして相手をどんどんコントロールしながら、自分の組み易い形、もしくは相手に捨て身のタックルという事をさせながら、レスリングテクニックで潰して行くというのが、彼のベースの闘い方ですが、石毛選手はそれをさせなくしてしまいました。顕著なのは、ローキックで小路選手のイン・アウトの前足殺しでした。その為に小路選手は体が起きてしまい真正面に立ってしまいました。要するに前足に体重がかかり、前傾気味で前足をベースに体を半身に切っていき、右を使っていきます。ですから、元々左足体重の左半身で、右手を大きく引いているわけではありませんが、右手が自分の顎のところ、またはそのそばにあれば、体が左半身になっている時点で、右のストレートはテークバック出来ている状態を作って、小さな振出で、速いストレートをロングで打てるというところに小路選手の強さの一つのポイントがあります。なので前足を殺されて、体を起こされて、なおかつ左足を引かなければいけないから、半身が崩されました。そうすると右の拳を今迄と同じ位置にして打ちたい為テークバックするとガードが開きます。それを石毛選手が左のリードでコントロールして行きながら、徐々に小路選手に大振りさせました。速い強いロングのストレートが打てる選手が駄目な時は大振りになります。その大振りでパンチが当たらなくなって来て、そこから石毛選手の粘りのある攻撃が始まりました。

1ラウンドは前半・小路、後半・石毛という形でした。その中である程度力関係が決まってきて、2ラウンドは終始石毛選手のリードの中、打撃で勝負していきました。石毛選手に試合後話を聞いたりしたのですが、組んだら強く、なかなかタックルが取れないと感じ、そこであれだけプレッシャーの強い打撃のイメージが凄く強い選手に対して、じゃー打撃だなと、すっと路線変更出来る、逆のその石毛選手の強さ、ここなんかは相当しびれました。そういう事を平然とやってのける、ここにプロの懐の深さ、厚みがあり、たいへん見所のある試合でした。判定ではありましたが、一本の価値があったと思います。これが両者カウンター狙いであったなら、全くつまらない試合になっていたと思います。両者一本を取りに行こうとしていましたし、だからこそ面白かったんです。そこのところにプロフェッショナルらしい試合だなと思いました。

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