第2試合 フェザー級戦 5分2ラウンド

築城実
(パンクラスP'sLAB東京)

裕希斗
(U-FILE CAMP.com)
1R 0:15、ギブアップ/腕十字固め
■築城実(62.5kg)
■裕希斗(63.5kg) セコンド:田村潔、中村大介
レフェリー:梅木良則

P'sLAB東京、築城選手の引退試合でした。格闘技のキャリアも10年近く、体の細かい場所も相当怪我をして来ましたが、ここまでプロのリングに上がってきました。彼はいつ見てもP'sLABの道場にいて、練習熱心な選手でしたし、アマチュアの頃から凄く真面目なイメージがありました。そこに若い 裕希斗選手が登場して対戦相手という事で、果してどうなるのだろうという形でしたが、ゴングが鳴ったら引退試合という事はかなぐり捨てられ、築城選手がどっと前に出ました。それ故の秒殺だったと思います。築城選手が裕希斗選手をテイクダウンする形ではありませんでしたが、コントロールはして、巻き込んでグラウンドの展開になったところからU-FILE CAMP.comの選手独特の早い切り替えしで、本当に早く、思い切りが大変良く、体の展開が物凄く速いので、技の仕掛け自体が大変速いです。その部分での裕希斗選手の練習のパターンにまんまとはまった、してやられたという感じだと思います。
叙情的に言ってしまえば、秒殺という言葉で1993年格闘技会を席巻し始めたパンクラスに籍を置いた築城選手の引退試合が、正に15秒の秒殺に因り引退しました。約10年、こつこつと努力をしてきて、多分この引退試合の為に相当の練習もしただろうし、色んな感慨を持ち練習をして来たと思います。その結末が15秒でしかも相手の勝利という、一つの冷徹な結果でしたが、これは多分ですが、彼位真剣に思い切り取り組んだ人間からしてみたら、私達外様の変なヒューマニズムで冷徹な結果だな何だかんだを超越して、“10年間”という一つの物を遣り切ったんだ、というところでのすがしがしさと、感涙を見た様な気がしました。
1、2年で物事を簡略して物事を理解してしまう風潮にある昨今、きちんとした大人が10年の歳月をこつこつと積み上げて来て、そこで得られるものというものは比較し難い価値があると思います。そういう意味では築城選手の引退試合というのは、15秒で終った事で、逆に強い印象に残り、築城実という格闘家として、羨ましく写った引退試合だった様な気がします。
残念なのは築城選手の最後の言葉を聞いてみたかったです。昨今やたらマイクを持つ選手が多いですが、こういう時は逆に何か一言あったら良かったのになと思いました。

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