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去る者がいれば、来る者もいるというところで、川村選手のデビュー戦ですが、実際には他団体で試合をしていますが、彼の中ではismの一選手なのだからパンクラスリングでの初試合をしなかえればデビューではないという気持ちがありました。この辺の心意気が全て試合に出た様な気がしました。きちんと学んで来た人達は強い心で自分を律しています。どこえでも転がれるのはフレキシブルであると同時に基準がありません。そういう意味では、川村選手は久々に出て来た思い切りの良い選手だなという感じがしました。対する小谷野選手はキャリアもあるしじっくり見せて行く選手の様な印象がありますが、パンクラスのリング上では、体重が90kg前後という事で、このクラスの選手には強打の選手が多いので、彼の組み手として難いマッチメーク等もあるので、苦戦している印象はあります。ですが、逆に今回はデビュー戦の川村選手に対して、どの位プレッシャーをかけていけるのか、らしさをみせられるのかというところでの注目は開始早々スタンディングでの、どちらのペースで試合を動かせるのかという事だったと思います。川村選手としてはやはり強打、7月の試合で拳を壊している程強打出来る選手で、打撃もしくはスタンドで勝負をしたいのに対し、組んで自分のペースに引き込みながら、得意のグラップリングに持ち込みたいと思ってる小谷野選手。それがどういう形でしのぎを削るのかという第一接点が見物だなと思っていました。距離が違えど、川村選手がやはりアメリカンフットボールという物で試合を経験していますし、印象的だったのはヘルメットこそありませんが、相手を睨む目は、アマチュアの格闘技から上がって来た選手とは違いました。歴史を感じさせる対峙の仕方、それを目付けと言いますが、彼の目付け自体に興味を持ちました。それ位相手を良く見ながら闘っているという事です。ですから意外に小谷野選手は組みに踏み込んで行けませんでした。それと若さもあるだろうし、練習量が半端ではありませんから、そういう意味では強く速く続けて打つ事を両ラウンド通して出来ました。これが川村選手の判定に繋がったのだと思います。 小谷野選手も勝機がありました。組んで投げに行ける体勢が作れたのですが、上手く川村選手が構えの角度を変え、足幅をコントロールしながら冷静に耐えた事で小谷野選手が今ひとつ自分の形に持ち込めませんでした。川村選手の打撃に上手くガードをして対処していましたし、徐々に足を止め、腕でのガードを利用して相手の打撃を封じ飛び込みたかったのではと思うのですが、そのガードだけでは相手が先に動いてしまうので、最終的には細かい打撃を貰ってしまいます。 打撃で勝負をしたくないのであれば、蹴りでもパンチでも、まず尚更に強く打ち、自分から入って行く事です。自分から相手を追い込み、簡単に後ろに下がってくれたならば、次にもう一度後ろに下がる事は人間中々出来ません。その時にもう一度強く入ったならば、おそらくテイクダウンを取れたのではと思います。そういう意味では二段ステップを憶えていくと、小谷野選手は活路を見出せる様な気がします。 そして勝負の分け目は何かと言うと、川村選手が小谷野選手のアームガードの下から打ち込んで行った近距離のアッパーです。これを川村選手は器用に打っていました。それでガードが下がると今度は左右のフックまたはショートフックの展開が小谷野選手の顔面を赤く染めた要因だと思います。ショートアッパー、これが勝負の分かれ目だった様な気がします。 >>> N E X T |