第6試合 ウェルター級戦 5分3ラウンド
ランキング3位
×大石幸史
(パンクラスism)
vs ランキング9位
石毛大蔵
(SKアブソリュート)
3R 5:00、判定/0-2
判定:岡本浩稔(29-29)廣戸聡一(28-29)小菅賢次(28-29)
■ 大石幸史(74.8kg) セコンド:金井一朗、岩崎達也
■ 石毛大蔵(74.8kg) セコンド:松本天心、長谷川秀彦
レフェリー:梅木良則

石毛選手は冷静でした。この試合に向け、自分達はどういう闘い方をするのかというきちんとしたテーマに則して練習していたと思います。1、2ラウンドは大石選手の懐が深く、石毛選手らしさがなかなか見られませんでした。色々な仕掛けが空回りしている部分があり、押し込まれるのも見られました。大石選手は最終ラウンドが大きく響いたと思います。ダメージも蓄積し、ラウンド毎に動きが落ち、手数等でも優っている大石選手がドクターチェックという自体で、そろそろ大石選手は考えなければ、本当に選手生命に関わる事になると思います。ここ数戦、鼻血が出易く、これは私も経験がありますが、鼻骨が折れ、それがくっ付いても、内側の傷ついた血管等は癖が付いてしまい、出血し易くなったりします。鼻骨折は内側の軟骨の伴い、きちんと元通りになりませんし、段々形も悪くなります。脳にも多大な影響が出ます。そういう事から出血し易くなっているという事は、鼻ではなく、それよりも奥の血管が気付いていると考えるならば、大きな問題となります。大石選手はインファイターではないので、入ってくる物をカウンターで仕留めたいのですが、石毛選手はセコンドの指示通り速いジャブを打ち、それが正確に当たります。大石選手に合わせた下からのフック、至近距離でのアッパーは空を切ります。これは当たり前の話で、半身で片手を長く伸ばしながら、小さく踏み込んで打って行くパンチの距離感と、平行立ちで真正面に相手をとらえ、下から上に上げるパンチとでは、距離感は違って来ます。ですから近頃は、打撃からタックルのスタンドの強さも影を潜め、四つに組み、そこからテイクダウンを取る様子は無くなって来ました。心配しているのは、ただ単に闘い方が変わったという類では無く、体の損傷です。試合の時に本当に良い打撃をもらうと、意識は残っていても体が言う事を聞かなくなりますが、特に頭は損傷の蓄積で日常に同様となってしまいます。そういう事から、鼻血が出ているだけと甘く考えない事です。口の中も毎回ざくざくに切れています。

剣道をしていた頃、真剣では無く、竹刀だからこれで済んでいるんですよ、昔の武道の先生というのは所作に厳しかったです。大石選手が空手道で武道の所作を考えるのならば、単に勝負ではなく、試合後の姿を見た時に、技術的に互角だったとしても、疲弊して多少ダメージを受けた石毛選手と、口と鼻からあれだけ出血の大石選手では、パンクラスの判定基準には『ダメージ』があるわけで、その項目では完敗に近いです。ですからそろそろスタイルを修正し、健康が無制限だと勘違いしないで欲しいです。対して、SKアブソリュートは全体がファイティングルーティンきちんと守り、その中で自分らしさを発揮した石毛選手は好感が持てました。序盤スタミナを失いましたが、そこから後半持ち上げて来ました。いつも言いますが、きちんとした指導者がいる団体は強いです。何故なら、良かれ悪しかれ、責任を取り、導いてくれるからです。自分はこうだと思っても、やはり年長者は経験値があります。自分の足元を見直せる環境の中にいる石毛選手は、本当に良い指導者の元で練習をしているなと、益々感じました。

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