第1試合 ライト級 5分2ラウンド
2005年度ネオブラッド・トーナメントライト級優勝
×山田崇太郎
(TEAM JUNKiey)
vs 2003年度ネオブラッド・トーナメントウェルター級優勝
関直喜
(RISE FIGHT CLUB)
1R 2:36、TKO(ドクターストップ)/右足首負傷
■ 山田崇太郎(68.9kg) セコンド:
■ 関直喜(68.6kg) セコンド:
レフェリー:和田良覚

楽しみにしていたオープニングマッチですが、楽しみにしていた理由がいくつかあります。
両選手共にネオブラッドのチャンピオンである事で、関選手はネオブラッドの王者から数年、どう経験値を積んで、これからそれをどう大きくしていくかという点、そして昨年の王者、山田選手はそこから一年近くなり、その間も手堅い試合をいくつもしています。ですからその部分でお互い自分らしさをどうぶつけていくのかという、その部分のネオブラッドOB対決という事が一つ。それから、それぞれのバックボーンというか、その部分の試合の組み立て方自体も噛み合い易い、近い間合いの打撃、テイクダウンを取って、そこからという形です。
山田選手は懐の深い、左脇の凄く強い選手で、組みもガードも強く、関選手は思い切りが良い事と、試合を組み立てて行く選手です。そういった部分で、お互いそれぞれの長所をどちらが出していくかという試合いでした。
開始早々、お互いが細かい打撃とフットワークで試合いを詰めて行き、関選手が腰にタックルを仕掛けて行き、実はそこがもうフィニッシュに成ってしまった試合でした。

関選手はタックルをして通常だと押し込んで行くのですが、今回はそこからリフトをして自分のポジションというタックルでした。ですからいつもよりも当たりも強く、深く入り、そうしなければリフトは出来ませんので、その部分で思い切りの良いタックルでした。
逆に山田選手は重い腰で、胸をつけて行く形を取るような、バランスを取り構えますが、そこで関選手が自分の左側を軸にして、リフトを敢行してテイクダウンを取って行きますが、それを踏ん張った山田選手の一度浮かされた足を着地して行った時に、内側にヒールホールドがかかる様な形、踵が内側にグルッと向く様な形でねじれて着地します。リングサイドにいて、パキッというかなり大きな音がしました。リングサイドにいた、サブを担当していた梅木レフェリーが、その音で、どこで試合いをどこで止めようかと思ったと言っていましたし、あれだけのねじれ方をして、その分強くしがみついてはいましたが、山田選手はよく声を出さなかったなと思います。

多分、関選手の左足が着地して、ねじれている足を中心に時計周りに自分が回転してリングの中央側に山田選手をねじ込んで倒す様な形でしたから、足にはもっと最悪な状態が起きていました。一度ねじれきったものが、倒れる時にねじ切れたものが元に戻る様な反力で足がぶらんとしていましたので、この時点で完全に多分ダメージが完結してしまったと思います。ドクターの見解では、骨折と軟部組織の損傷という報告も受けています。山田選手がここで良く試合いを諦めなかったなと思います。その後は残り1分半位、山田選手がいかに下でしのごうかという事と、この状態がブレークになったら自分は立てないだろうというか、危機だろうという事で、いかにこの形から一本を取ろうかということにつとめたと思いますし、関選手は安定して自分の形の中で攻め込んでいたと思います。

試合はブレークのかかった時点で、もう足首はぶらんぶらんしていましたので、自分の意思では動かせないという事で、ドクターチェックをして、ストップが入ったという試合でした。
勝因は一見アクシデントの様に思えますが、これは関選手が自分に課題をおいて、その通りに動きに行った事からだと思います。要するに選手というのは常に移ろいで進化しようとしますが、それを可能にするかは心の力の方が大きな要因です。組んで強という山田選手に、自ら組みに行く道を選び、強く当たり、そして関選手はリングの中央で闘いたいと思っていたらしいです。
関選手のタックルの感覚が今までとは違っていたので、試合後機会があったので話を聞いてみたのですが、リングの中央で闘わないと自分らしさが出ないだろうし、ロープを背にしては、山田選手相手には中々苦戦するだろうと分かっているんだったら、自分から中央で闘う様に仕掛けようという方向に100%切り替えられたところに、アクシデントの様に見えますが、これは正々堂々とした技ですから、これは関選手が一本を取ったという事です。 山田選手はよく悲鳴をあげませんでした。恐るべき男です。こういう男は必ずきついリハビリにも耐え、リングに戻って来てくれると思いますので、タフな山田選手を、早く戻って来ないかと待っています。
心の勝負というところで、関選手は山田選手と同時に、過去の自分にも勝ったという試合でした。

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