セミファイナル 第12回『ネオブラッド・トーナメント』ウェルター級決勝戦 5分2ラウンド
本田朝樹
(パンクラスP's LAB横浜)
vs 熊澤伸哉×
(闘心)
2R 5:00、判定/3-0
判定:廣戸聡一(20-18)岡本浩稔(20-19)梅木良則(20-18)
■ 本田朝樹(74.8kg) セコンド:
■ 熊澤伸哉(73.7kg) セコンド:REIJI、田上洋平
レフェリー:和田良覚

決勝までの道程からすると、圧倒的に熊澤選手の方が好印象だったと思われます。本田選手はぎりぎりのところで勝って来た形で、ダメージも多く負い、辛くも上がって来ての決勝でした。
下馬評では、この階級は熊澤選手を中心にしたもになるだろうという大方の予想だった様です。 沖縄の選手の良さは、強いハートです。妥協はせず闘いぬき、格闘技を始めた時点で強いプロ意識を持って育てられたという点に彼らのバックボーンがあり、一本の奪取率の高さを示していると思います。それに対して本田選手は、ちょっと強くなれれば良いや、という強い人への憧れから始まり、アマチュアと言う世界から、徐々に強くなりましたというような、対照的な段階の踏み方だと思います。

そういう中で、蓋を開けて見ると、序盤から動きまくる本田選手がいました。熊澤選手は対応しながら、何とか自分のペースにしようとしますが、本田選手は、やや離れたところから細かい打撃で一気に距離を詰め、首相撲なり、相手を固定しサイドに固めながら、膝を合わせ、翻弄しました。熊澤選手は、それを何とか離し、または崩して、寝技なり何なりの得意な形に持って行こうとし両者は拮抗しますが、ここで本田選手は良く攻め抜きました。夏合宿か何かで、かかり稽古をしている勢いで、熊澤選手に息をさせないのではないかという様相で、離れてブレイクになったとしても直ぐに出て行き、2、3発打たれようが、自分が何かするんだという姿勢が明確でしたが、それが最後まで続きます。2ラウンドの1分過ぎほどから熊澤選手は息が上がり、それを追う様に30秒位して、本田選手も息が切れてしまうわけですが、そこまで自分から動きまくったところが最大の勝因だと思います。その中で序盤膝蹴りをいくつか的確に与え、相手のスタミナを奪って行ったポイント、それから後半、離れても直ぐに寄っていき、何とか息をつきたい熊澤選手を、2ラウンド尚も波状的に前へ出続けました。どちらが倒れてもおかしくない程、ふらふらに成りました。

決勝までの過程、細かい技術等、全てにおいて好印象だった熊澤選手を、判定で覆し、優勝した本田選手の勝因は、怖がらずただ前進した事、要するに気持ちが勝ったという事だと思います。それもただ単に本田選手ががんばった、という事ではなく、心では。気持ちでは負けないという、沖縄・闘心の熊澤選手に気持ちで勝った所に、今回本田選手を大変見直したというか、本田選手の価値を高めたポイントだと思うので、そういう点では凄く面白い試合でした。

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