セミファイナル ミドル級戦 5分3ラウンド
△ネイサン・マーコート(3R 5分00秒、判定/1-0)石川英司△

ミドル級での期待が大きく大きくなってきた石川選手。そして同級1位、ベルトこそ奪われましたが、未だ上を目指していけるだろうマーコート選手の試合です。 1Rの内容がすごく判定に加味されましたが、この試合は28−28というのがドローの基本手な数字でした。そして1つが29−28でマーコート選手が取りました。実はこのポイントを私は普段あまり言わないのですが、どういうふうに採点したかという事を知っていただきたいので、今回お話しします。勢い、雰囲気からすると、石川選手は頑張って、良い感じで、勝たせてあげたいなという気持ちが会場にはありありでした。マーコート選手も必死に食らいついていて、負けたくないというものが凄く伝わって来る中で試合が行なわれました。1Rの混戦の中から、危なげ無くテークダウンを取ったのはマーコート選手で、そこから実に上手いボディーコントロールを展開しながら、中盤以降、再三石川選手の首を取りにいくという展開が続きました。2Rは、逆に一転して石川選手が持ち前のスタンディングの攻防、そしてテークダウンを取った後のパウンドの嵐、これは物凄かったです。良く凌いだなというのが私のマーコート選手評で、このラウンドを良く凌いだなと思います。石川選手はスタミナを大きく奪い、ここで一気に決めてしまうのではないかという猛攻でした。そして3R、その猛攻をどう繋ぐのかと思いきや、流石ベルトを巻いていた前チャンピオン、また丁寧なグラウンドから腕を取り、首を取りという形から、執拗にグラップリングで攻め捲るという、そういう試合でした。ジャッジの点数を見て頂くと判りますが、レフェリー陣の判定の基本は、1、3Rはマーコート選手のポイント、これは1ポイントづつです。3R30点が持点ですから、2R取られ28点です。これはしょうがないと思います。それに対して石川選手が、2Rの猛攻でダウン寸前まで追い込み、このラウンドは石川選手です。これは3者全員そう見取っています。

ただ、そのラウンドにマイナス2点を取ったレフェリーが2人いて、石川選手の取ったラウンドをマイナス1点で取ったレフェリーが1人いました。そうすると1、3R取られた石川選手の28点と、2Rだけですがマイナス2点取られたマーコート選手の28点という形で、レフェリー2人の判定は28−28です。ですが、石川選手のラウンドと取った2Rを、一人のレフェリーはマイナス1点で換算した為に29−28という事で、マーコート選手の勝利という風に判定したという事です。ですから基本的には判定は分かれてますが、レフェリーの見ている所は同じで、ただダメージの大きさであるとかポイントの重さをどれぐらいでとったかという所でのばバラつきです。石川選手は頑張ったのですが、2Rだけ頑張り、1、3Rは頑張られ、それでどちらにころんでも石川選手の勝ちは無いというのがこの試合の寸評です。当然の事ですが、これは私達レフェリーの感情等は全く関係ありません。パンクラスの判定はこの様に付けます。これは他の団体がどういう風に判定ポイントを取る等は、そのルール上色々あります。ですがパンクラスは昔からこの様に付けてます。それをわかってもらいたくて、すごく一見複雑な感覚ですが、実はそうやって判定を取っていますという事です。そういう目で会場やテレビで試合を見ていただくと、私達レフェリーの目はどんな所を見ているのかなというのが、何となくわかると思います。良かったらそのような視点でも見てみて下さい。

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