第5試合 ヘビー級戦 5分3ラウンド

謙吾
(パンクラスism)

ジェームス・リー
(マッシュ・ファイト・チーム)
1R 0分55秒、KO(失神)/チョークスリーパー
■謙吾(98.1kg) セコンド:高橋義生、田代勝久トレーナー
■ジェームス・リー(91.2kg)
レフェリー:岡本浩稔

今回の大会で唯一の秒殺試合でした。展開としては、リー選手が積極的に前へ出て行った印象しかありません。スーパーヘビー級から階級を変えて心機一転の謙吾選手としては、開始早々何もせず終わったという、そんな印象です。そろそろ自分の闘い方、練習を変えるべきだと思います。選手としては、それらを変えるというのは今迄の自分を否定されることにもなるので、快くは思わないかもしれませんが、謙吾選手の負けるパターンがずっと同じです。強い打撃を持ちながらも、それが大振りになるからテークダウンを取られ易く、それを防ぐ為に腰を引き、相手に体を密着させない様にしながら、下がりながら打つのでパンチは効きません。効かなくて圧力が無いから相手はどんどん入って来るし、お互いに打ち合う時は無防備で打ち合い、ラッキーパンチが当たった時は有利に、逆にラッキーパンチが当たれば倒れてしまいます。もしくは、そこからお互い足が止まり、打ち合いの間にテークダウンを取られ、戦況が不利になります。負けるパターンはこの2通りです。勝つパターンとしては積極的に攻め、パンチが当たり相手が倒れる。それしかありません。ですから凄く危険度の高い試合になっています。

2004年「BRAVE TOUR」最後のこの大会のテーマは、“強い選手”だったと思います。これが今大会のキーワードだったと思います。そこから言うと、自分は何が強いのか?ということをもう一度考えるべきだと思います。渡邊 久江選手、志田選手、山本選手、石川選手、中西選手、前田選手、築城選手。皆、過去にやってきた格闘技なら格闘技、スポーツならスポーツに根差した闘い方をしている人は上手いし強いです。借り物の練習をしていてもしょうがありません。好き嫌いで練習はするものではありません。自分を見つめ、客観的に足りない物を満たしていくという姿勢が練習であり、自分の好きな事、楽しい事だけをしていたら、壁は越えられません。ここ1〜2年の謙吾選手のもどかしさ、フラストレーションというのは、自分自身の練習をもう一度垣間見ないと拭い去れない様な気がします。練習で自分の好きな事をしているからこそ、本当は何も出来なかったのではと思います。きつい言い回しですが、それだけパンクラスismの謙吾として注目が集まってるわけですし、期待も高いのです。それに応える為には、自分の本質に近い練習をしなければ、魂が飛んで来ません。入場してきた謙吾選手が、お客様を引き寄せる力が無くなってきているのは、戦歴のせいだけではないと思います。そういう意味では2005年の仕切り直しの中で、新しい謙吾選手が見たいと思います。一方のリー選手は初登場で、凄く緊張し、恐怖もあったことだと思います。そういう事があったから、速い展開、仕掛けの中で1本取れたと思います。ですから、勝った時のあの喜び様を見たら、リー選手がどれほどの恐怖を味わっていたかがわかります。その中で思い切り良く闘ったという事、頭で考えない選手、体で感じて動いている選手という印象を受けて、凄く好感を持てました。今は頭、理屈で闘う選手が多くなってきてますので、そういう意味では強くなる可能性が充分含まれているという事で、この秒殺がまぐれかどうか、第2戦、第3戦のリー選手に注目したいです。

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