第7試合 パンクラス旗揚げルール 10分1本勝負

佐藤光留
(パンクラスism)

佐々木恭介
(U-FILE CAMP.com)
1R 10:00、判定/ドロー
判定:梅木良則(30-30)和田良覚(30-30)岡本浩稔(30-30)
■佐藤光留(86.8kg) セコンド:渡辺大介、川村亮
■佐々木恭介(79.8kg) セコンド:田村潔
レフェリー:廣戸聡一

両選手のスタート地点が大変近い所にあって、二人の名前が横に連なり、ほ〜、と思っていました。そしてパンクラス旗揚げルールで行うという事で、実はパンクラスサイドとしても、審判団としても、とても大変な話でした(笑)。昔のルールはどうだったかなというのと、レフェリングというのも一つの作法です。なので、一緒の条件反射として作られていきます。サブレフェリーを現行ルールと、アテナルールで、メインレフェリーをこの旗揚げルールと、次のキャッチルールでという具合で、頭の中がぐちゃぐちゃでした(笑)。そういう意味では大変な話だと思っていましたが、蓋を開けたら予想以上に、この旗揚げルールは面白かったです。裁いていて面白く感じました。ファンの皆さんが映像で見る機会があったならば、この試合は特に集中して見て貰いたいです。相当面白いと思います。佐々木選手、佐藤選手の、お互いのプロ格闘家としてのクオリティーが大変高い事、これが面白味の一つの要因ではあります。旗揚げルールから10年以上経過してきて、ルールの変遷を辿ると、オープンハンドの掌打で、格闘スポーツというジャンルからスタートしたパンクラスが、色々な交配合を繰り返し、正にHYBRIDしながら、オープンフィンガーグローブの時代になり、バーリトゥードの色合いを強くして行きました。

そして今回、旗揚げの頃は子供だった彼等、この第4世代位の選手達が驚くべき対応力を見せました。お互い実力が発揮出来ず不完全燃焼だという様な話をしていましたが、技の変化と1秒たりとも目を離せない、先を読ませないという事であると、会場が一瞬しーんとなりました。通常の試合だと先が見えます。例えばここでガードを取り、膠着が続き、細かいパウンドで上を制するか、相手の手足をコントロールしながら下からひっくり返すか、もしくは抜けるか、ガードにするのか、ハーフにするのか、マウントでどこまで持っていくのか等、先が読めるんですが、旗揚げルールという今回のパターンで、両選手が動いた時に、思いもよらぬ方向に選手が動き出します。旗揚げ当時レフェリングをしていて、選手に接触しそうになって、色んなところに飛んで回った時代がありましたが、ロープの上に登った時代もありました。そういう事を考えた時に何か懐かしいリズムがそこにあって、凄く面白かったです。判定は30-30で両者とも決めかねたという部分もありますが、両者ともに正に互角に動いたという事です。だからこそドローであって、技が貧困で、試合が停滞してドローに成ったわけではありませんから、そういう意味では凄く面白かったです。その昔、10年程前になると思いますが、船木vs冨宅戦というのが行われた時に、そのスピード感等から、一つの扉が開いたと言われた時代がありました。それを軽く凌駕しました。あの試合も私がレフェリングをしていたので忘れられませんが、その私が言うのですから間違いありません。そのリズムといい、本当に軽く凌駕しました。
佐藤光留と佐々木恭介の旗揚げルールでのこの試合、正に進化した形での試合で、ファンの方々は結果がどうではなくて、両選手のファイティングコミュニケーションとでも言いますか、絡み合いを見て欲しいです。オールドファンであれば、余計にそうだそうだと膝を打つ何か匂いをさせてくれます。この試合、映像を大いに楽しみに見てもらいたい、そんな一戦でした。

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