セミファイナル 第2代ヘビー級王者決定トーナメントAブロック第二試合 5分2ラウンド
桜木裕司
(掣圏会館)
vs 佐藤光留×
(パンクラスism)
1R 0:55、KO/グラウンドキック
■ 桜木裕司(92.4kg) セコンド:瓜田幸造、長谷川秀彦
■ 佐藤光留(90.8kg) セコンド:伊藤崇文、渡辺大介
レフェリー:廣戸聡一

佐藤選手は体のサイズからしたら、無謀と言える様な挑戦が彼らしいところですが、昨年も体重の軽い、または同等の選手との試合が殆どなかった1年を経ての事で、闇雲に出場したわけではないと思います。体重発表で90.8kg。彼がここ1年位でどれ位の体重を増やしているかという事で、しかもスピードが落ちないようにして、この体重の増加というのは、それなりにきちんと練習しないと出来ない事です。ある意味、体重を絞る事の方が楽で、体重を上げるというのは大変な事です。パンチで負けはしましたが、以前と比較すれば、パンチの対処からどんなレスリングをして行くのか向上をさせ、ここに名を連ねたのは、身長、骨格、体重差はあれ、ある意味当然であり、皆さんが思っている程無謀ではないと思います。
桜木選手、やはり彼は格好良いです。今回はこれまでの坊主頭から、どちらの企業にお勤めの方ですか、見たいなきちっとした髪形になって、印象新たに好青年風のリングインでした(笑)。

外見上の問題ではなく、彼が良く口にしていますが、私たちは現代の若者とは違う感覚で練習をし、勝負以外のものを見てもらいたいという事です。いわゆる心、魂みたいな話をすると、世の中こういう話をすると、直ぐに右左思想をという風に成りますが、海外にいけば分かりますが、必ず自国への愛情をきちんと口にする様に教育されています。そして世界の通念として、異国の人が訪ねて来た時は、相手の国旗を掲げ歓迎します。要するに国というものをきちんと評価している事で、それが世界の礼儀です。ですから日本人が意識しないだけで、世界の感覚で言えば、あなたは何人で、どんな文化であるかは意識しなくてはいけません。そういう意味で政治思想云々ではなく、文化思想はしっかり身に付けなくてはいけません。付けない為に結果直ぐに、海外ではこれが流行して等に倣ってしまいます。きちんと日本は何を発信するかがなくてはいけないという事を彼は考え、その部分で大人で、その大人が一生懸命練習している凄味がこの試合の秒殺劇に繋がったと思います。瓜田、桜木、両選手の毎試合を見れば分かりますが、どんどん動きも構えも改善しています。勝ち続ける、または負け続けるでもなく、過去の自分よりも今の自分、次の自分、ごくごく当たり前の事を彼等は肝に命じて練習しています。私たちはこういう人間で、こういう試合をしたいという光を八方に放っている選手です。
髪型、コスチューム、パフォーマンス、入場曲等で自分らしさを出すのも良いです。しかし、プロ格闘技の選手は、リング上の闘いがどれ程印象深かったが、本当のプロフェッショナルです。

プロ野球の選手が目立ちたいからと、1人だけユニフォームを変える事は許されないし、悪戯に守備位置を変えることも出来ません。チームスポーツは全員イコールの中でプレイを光らせようとして一生懸命練習している競技が普通です。剣道、柔道等、胴着に独自のものを何か入れる事は許されません。皆平等の中で、闘い方や、立ち居振る舞いが一流であるから、逆にそういう評価は長く輝きます。決してブーム、一過性のものには成りません。何故かと言えば、一流の自分をきちんと出す為、一生懸命練習を継続し、それが試合に出るからです。そういう意味で、桜木選手の今回のこの55秒にはそれが凄く込められていたような気がします。

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