セミファイナル ライトヘビー級戦 5分3ラウンド
ランキング6位
渡辺大介
(パンクラスism)

松井大二郎
(高田道場)
2R 5分00秒、TKO(ドクターストップ)/目の負傷による
■渡辺大介(87.1kg) セコンド:伊藤崇文、佐藤光留
■松井大二郎(86.7kg) セコンド:豊永稔
レフェリー:和田良覚

試合は3ラウンド開始のゴング前にドクターストップと言う形で、松井大二郎選手の勝利でした。試合は一言でいうと渡辺大介選手は盆の水をこぼしたというか、9割方自分の試合で、みすみす勝ちを逃しました。逆にいうと松井選手が大きなリングを経験したり、アウェーとして高田道場を背負ってきているという事が、逆転に繋がったのではないでしょうか。そういう事で考えると、渡辺選手はismの門番という肩書きを返上しなければならない、という位イージーな試合をしようとしました。そこが納得いかないところです。
この試合に限ってですが、多分、技術的な部分、実力的な事で言ったならば、渡辺選手はいつでもパンチを打てたし、自分から踏み込んでも打てる、カウンターを取っても打てる、蹴る事も出来るし、蹴りのディフェンスも完璧に行ってきました。スタンドで組み合っても、組み負ける事はないし、打撃からスタンドでの組み技への移行が凄く良いから、組んで松井選手がバランスを崩すところもたびたび見られました。そういう位、本当に渡辺選手はどうやって自分の形で松井選手を追い込むかという流れでした。松井選手はその中で何とかしようとしているところが見取れました。アマチュアの選手の方々が、こういうのをご覧になって、スタンドで良い感じで行くのだけれども、何かひっくり返されてしまうなとか、良い感じで打てているのだけれども、自分も打たれてしまうという時は、総合の場合で言えば、まず打ったら必ず相手に組むという練習をして下さい。そうして行くと足が動いて行きます。足が動いて行くと、一発良いのが当たった後に、もう一歩相手に詰め込んで行く癖が付きます。技を仕掛ける所までは足が動いているのだけれども、当たったら足を止めてしまう事、これが今回の渡辺選手の敗因だったと思います。

逆に松井選手はここだというところで、ダメージはあったものの、一気に集中して、必死になってパンチを出して行った事で、追い込まれていた状況をワンパンチでひっくり返しました。そしてこれがライト級から上の、重量級の試合の醍醐味でもあります。ですから渡辺選手は簡単に打たせてはいけません。重い重量になればなるほどそうです。パンチが効いていないと見せる為に打たせる選手もいますが、気が付いたら効いているものなので、打たせない、自由にさせないという練習をしていないと、今回の様なケースになります。ただ渡辺選手が不運だなと思ったのは、1ラウンドで、首の取り合いからスタンドで離れる為に、松井選手が渡辺選手を手で押し込んだのですが、その時にちょっと松井選手の親指が、渡辺選手の左目に入ってしまい、軽いサミングになってしまいました。私はそのときサブレフェリーで、それが見取れたので、和田レフェリーにその事を伝えたのですが、大きな影響はないだろうという判断と、渡辺選手も目をぱちくりさせてそのまま試合を続けたので、試合は流れていきました。もしかするとその辺で既に目が開け難かったのではないかなと思います。サミングというのはそういう意味で本当に怖いのですが、そういう事もあり、不運だったとは思いますが、勝とうという執念、そこの部分では大いに松井選手がリードしていたというところだと思います。立派でした。

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